景気が今より回復しても株価上昇は微妙な理由 コロナ禍が薄れたあとの日経平均はどうなる?
では先行きはどうであろうか。あまたあるデータの中で筆者は日本の工作機械受注に注目している。工作機械受注は世界経済の先行指標として知られているOECD(経済協力開発機構)景気先行指数と密接に連動するほか、アナリストの業績予想(予想EPS=1株当たり利益)に先行することもあるため、世界経済および株式市場の先行き予測に有用である。10月の工作機械受注は前年比マイナス5.0%へと下落幅縮小。依然マイナス圏で推移しているとはいえ、5月のマイナス52.8%をボトムに回復基調が鮮明となっている。
国内向けがマイナス13.6%まで持ち直したほか、海外向けがマイナス1.1%と前年比フラット圏まで回復した。国内向けはこれまで投資を手控えてきた自動車業向け受注が回復傾向にあるほか、電子部品を中心に電気機械向けも底堅く推移している。海外は中国向けがすこぶる好調である。半導体を中心にハイテク製品の内製化を急いでいることもあって設備投資が活発化しているとみられる。
実体経済回復で政治に「悪い余裕」生まれる懸念も
冒頭で示したように最近の株価上昇をめぐっては、超拡張的な財政政策と超緩和的な金融政策に支えられたバブル的相場との指摘が多い一方、ここへ来て実体経済の回復を伴ってきているのも事実である。ではこの先、実体経済が一段と回復した場合、株価はさらに上昇するかと言えば、それは微妙である。
というのも、コロナ禍における株価は「政策支援」と「実体経済」の合計値で決まると考えられるためだ。現在のアメリカがそうであるように実体経済が回復すると、政治に「悪い余裕」が生まれ、経済刺激策の策定が滞ることで両者の合計値が膨らまない展開が予想される。11月に日経平均は10月末の終値2万2977円からわずか4週間程度で大きく上昇、11月25日には2万6706円まで上昇した。こうした急上昇の反動もあり、ここからさらに上値を追う展開は、当面は想定しにくい。
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