これからの日本株が米国株より期待できる理由 株式市場の空気が読める「重要指標」がある

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今年は10月に行われた浅草の三社祭。コロナの影響は決して小さくないが、日本株の先行きは決して暗くないと言える理由がある(写真:UPI/アフロ)

日本株は10月下旬に一時は年初来高値の更新も視野に入れた。大きく見れば「実体経済は悪いのに株価は高い」といういびつな状況が続いている。

一方、海外経済に目を向けると、アメリカと中国経済が当初の想定を上回って回復中だ。他方、欧州はここへ来て新型コロナの影響からフランスが全土で2度目のロックダウン(都市封鎖)を実施するなど、経済活動に悪影響が出ている。春頃のような危機的状況には至っていないが、かなり気がかりだ。そして最後に、日本は緩慢ながらも持ち直し傾向にあり、最近は前向きなシグナルも散見される。以下、日本株を取り巻く状況を整理するため今回は国別のマクロ経済動向をチェックしてみよう。

アメリカは個人消費が当初想定よりも回復中

まずはアメリカ経済。これまでのところ2020年上半期の記録的な落ち込みから当初の想定を上回るペースで回復してきた。例えば失業率。9月時点で7.9%となお高水準だが、これは6月に米連邦公開市場委員会(FOMC)参加者が示した見通しに比べて低い。

6月の段階で2020年10~12月期平均は9.3%とされていたから、かなりの改善と評価できる。国内総生産(GDP)の約7割を占める個人消費も順調に回復している。旅行、外食を中心に対面サービス業は依然停滞しているものの、耐久財消費はすこぶる堅調だ。また小売売上高に目を向けるとオンラインショップの活況が持続しているほか、自動車、家具、衣料品、スポーツ用品などが持ち直し、全体の数値はコロナ禍前の水準を大幅に凌駕している。

GDPの個人消費の基礎データとなるコア小売売上高(全体から自動車、ガソリン、建材などを除いた数値)は前年比で9%程度増加し、2000年代入り後で最も高い伸び率を記録している。

こうした堅調な消費の理由は、取りもなおさずコロナ禍前よりも収入が増えているからである。大人1人当たり1200ドルの現金給付、失業保険の上乗せ給付(7月末まで週当たり600ドル)といった大規模支援策が賃金の大幅減少を補ってなお余りある貢献を果たし、マクロの家計収入は8月時点で前年比プラス4.7%と明確に増加している。包括的景気対策がまとまらず、各種支援措置が先細りしているにもかかわらず、消費が底堅さを保っているのは、こうした懐事情の改善が背景にある。

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