日本の教員があまりに疲弊せざるをえない事情 中学校教員の6割近くが「過労死ライン」超え
非正規教員が増加した理由は主に財政の問題である。公立学校では「義務標準法」(1958年制定)により、児童.生徒数に応じて教員定数を定めており、その定数分の教職員給与の2分の1ずつを国と地方自治体が負担していた。2002年の閣議決定「骨太の方針」により国庫補助負担金改革他が打ち出され、2006年には「義務教育費国庫負担法」が改正されて国の負担を3分の1とすることが定められた。
非常勤教員は2005年8.4万人→2011年11.2万人
一方、少子化に悩む地方の学校を救済する目的も含み、「義務標準法」は2001年に改正され、学級編成を弾力化し国の標準を下回る生徒数での学級編成も可能になった。学級数が増加すれば必要な教員数も増えるが、その増加分や産休に入った正規教員の欠員分を非正規教員で補う方法が多くの教育委員会で取られた。
同時にこの時期は学力向上、個性や能力に応じた指導が始められた頃でもある。少人数指導やティーム・ティーチングを実行するにあたり必要となる教員もほとんどが非正規として雇用された。このような各地の動きの背景には、2004年に義務教育費国庫負担制度に総額裁量制が導入され、額内であれば用途は問わないとなったことがある。
文科省も当初は非常勤教員数についての調査を行っており、その数は2005年には約8万4000人であったが、2011年には約11万2000人となり、全職員の16%を占めたという結果が残っている。しかし、この調査は2011年以降継続されていない。
総務省は2016年に「地方公務員の臨時、非常勤職員に関する実態調査」を行い、同年4月1日時点で全非正規公務員約64万人のうち、公立の非正規「教員、講師」は9万2494人で全体の約14.4%となる事実が明らかになった。これらの調査を見ると、日本の労働市場全体で非正規労働者が増加したことと同調しており、現在も相当数の非常勤教員が存在すると推測できる。
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