LIXIL社長が語る"健全な"会社の壊し方 GE出身の切れ者経営者はどう会社を変えたのか
――なるほど。日本の経営者がもっと取り組むべきことは何でしょうか。
まず経営者が備えなければならない条件は、なんと言っても変革を起こすこと、チェンジ・エージェントになること。変革を起こせない経営者ははっきり言って失格です。それから後継者を育てること。後継者というのは、自分の次の社長を選ぶという意味ではなくて、次世代の人たち全員を育てるという意味です。
――藤森さんが仕えたジャック・ウェルチ(GE前会長)も、「中性子爆弾ジャック」と呼ばれたぐらい、あらゆるものを壊して変えました。
誰もウェルチがトップになるとは思っていなかったのですが、会長に就任した次の日から、ほとんどすべてのものを破壊しましたね。
社内昇進でもいいのですが、とにかくそういう破壊的な改革者を会社のトップに置くことができるかどうか。ただ、社内に脈々と流れる人脈の中で生きて、入社以来30年間働いてきてやっとトップに就いて、「次の4年間任せたよ」って言われた社長がいる組織で本当の意味で変革が起きるかなとは思います。
甘えた瞬間に成長が止まる
――そういう組織では、社員のモチベーションも「入社25年だ、そろそろ何々長になれるなあ」という辺りにありますね。

そうでしょうね。私はLIXILで、社外からガンガン人を連れてくるわけですけども、同時に社内の人も積極的に教育しています。彼らに託す気持ちはすごくあります。
ただ、社員が会社の中だけで競争していてはダメ。外から急にすごいのが入ってくる可能性は常にある、社外のあらゆる人材と比べて優れていなければ社長にはなれないという感覚を持たなくては。人はいつでも「横入り」してくると思わないと甘えちゃうと思う。甘えた瞬間に、これでいいと思って成長が止まってしまう。
だから、そういう甘えを起こさせないためにも、どんどん社外から優秀な人を連れてくることは大事。優秀な人を下から上げることと同時に大事です。
――社内の抵抗勢力からその「破壊的な人事」は攻撃されませんか。
人事部長を変えちゃったら、どうしようもないですからね。
――最後に、藤森さんの弱点って何ですか。
……。気が短い。忍耐力がない。じっくり待たなくちゃいけない時って、やっぱりあるじゃないですか。そういう時に待てない。
――「我慢、我慢」などとつぶやきながら待とうと試みるようにしている?
それはない。ないんですよ。欠点を欠点として認識してしまうと、そっちに引っ張られちゃう。欠点は無視していいと思うんですよ、みんな。弱いところを直すより、自分の強みで勝負する方が勝ちやすい。
(撮影:梅谷秀司)
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