三菱電機のパワー半導体が急伸、武器は日本の“職人技”《中国を攻める》

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三菱電機のパワー半導体が急伸、武器は日本の“職人技”《中国を攻める》

三菱電機の中国向け事業は、エレベーターなどの昇降機、鉄道向け電機品、水処理関連などの社会インフラ、エアコンなど多岐にわたる。中でも、好調に沸いているのが、エアコンのインバーターなどに用いるパワー半導体だ。

「中国のエアコン用インバーターに用いるパワー半導体の受注は、昨年4月以降毎月最高を更新している」「今年度に続き、早くも次の生産能力増強を検討しなければならない」--。三菱電機パワーデバイス製作所の西村隆司所長の口からは、景気のいい言葉が次々と飛び出す。

パワー半導体とは、電気を交流から直流へ変換したり、効率よく制御したりする半導体。三菱電機は特に複数のパワー半導体を束ねたパワーモジュールに強みを持ち、発電用や鉄道用の産業用パワー半導体から家電などに用いる民生用パワー半導体まで幅広いラインナップを誇る。

DRAMをエルピーダメモリへ、ロジック半導体を日立製作所との合弁ルネサステクノロジへ移管した三菱電機にとって、半導体事業の主柱がパワー半導体。2009年3月期の同部門売り上げは900億円だ。

08年秋の世界金融危機後の産業界の設備投資凍結により、同社のパワー半導体事業は大幅縮小を余儀なくされたが、中国のエアコン向けが09年早々に拡大に転じ、「民生用は今や生産が追いつかない状況」(西村所長)。中国需要の伸びを受け、09年度に民生用パワー半導体は2度の増産投資に踏み切った。

7月には福岡のマザー工場、熊本の前工程(シリコンウエハに微細な回路を書き込む工程)に15億円を投じることを決定。12月には後工程(ウエハを切断しパッケージングする工程)を委託する米GEMエレクトロニクス社の上海工場に三菱電機が16億円負担し、装置類の増強を決めたばかり。10年9月には生産能力が08年度比2倍に引き上がる。しかし、これでも足りず、さらなる投資を検討中だ。

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