三菱電機のパワー半導体が急伸、武器は日本の“職人技”《中国を攻める》

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 パワー半導体は、韓国メーカーの躍進に押され、日本の競争力低下が著しい半導体産業にあって、例外的な領域だ。三菱電機にとって、エアコン用パワー半導体の競合は三洋電機や米フェアチャイルドなどで、韓国や中国に競合相手はいない。

日立製作所出身でサムスン電子常務を務めた吉川良三・東京大学ものづくり経営研究センター特別研究員は「日本の半導体はもはや韓国に勝てないが、パワー半導体に限っていえば日本の強みが生かされる」と指摘する。

DRAMやフラッシュメモリは規格が標準化されており、最先端の製造装置をそろえれば新規参入が比較的容易なことに比べ、パワー半導体は同じ製造装置を使っても同じ製品は作れない。

「モーターを効率よく回転させるにはギューンなのかギュイーンなのか。パワー半導体はデジタルでなく、アナログ的な職人技のさじ加減がカギを握っている」と西村所長は言う。

技術流出を避けるために、念には念を入れている。GEMに委託する後工程では三菱電機が選定・チューンナップした装置を支給。極端にいえばGEMは与えられた装置のスイッチを押すだけだ。仮に少しずつノウハウを学習されたとしても、より重要な前工程を海外に出すことは考えていない。

中国市場の成長に乗りながらも独自の競争力を保ち続ける--その挑戦が、始まっている。

■三菱電機の業績予想、会社概要はこちら

(山田 雄大 =週刊東洋経済2010年3月13日号)

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