サイバーダイン、株価乱高下の必然 値動きの荒さは期待の高さゆえか

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5月22日の決算説明会での山海社長の説明によれば、欧州で販売する「HAL医療用」を用いた治療サービスを提供する病院との契約形態を変えたことが、売り上げ見通しが下振れた理由だという。

1991年に山海社長が基礎研究を始めてから23年、04年の会社設立から10年と、長い道のりを経て上場にこぎ着けたサイバーダインだが、昨年から海外での展開が加速しているのが特徴の1つだ。

ドイツでの展開を本格化

日本や米国では当局への認証申請を準備中だが、欧州では昨年8月、「CE マーキング」と呼ばれる医療機器認証を取得した。労災保険の適用が認められたドイツでは、今後、サイバーダインの子会社が神経系や筋系疾患の患者向けに、HALを用いたサービス提供を本格的に展開する。HALはまず9つの病院に導入される予定だ。

上場当日と同様、今回の決算説明会でもロボットスーツを披露した。

当初、これら9つの病院それぞれと契約するつもりだったが、レンタルやリースの契約などを個別に結ぶのは手間がかかる。そこで、病院の統括組織と交渉した結果、個別ではなく包括契約を結ぶことになったという。

初めは個々に契約を結んだ病院から順次売り上げが立つ見通しだったが、包括契約が完了するまでは売り上げが立たなくなった。要は、収益として上がってくるタイミングが後ろにズレたため、今期の売上高と利益の伸びが当初の見込みより小さくなったというわけだ。

実際、会社側が示した収益見通しも上期と下期とでは勢いが違う。今上期の計画は売上高2億6600万円、経常損失は2億6800万円の赤字。対して、下期の売上高が上期よりも倍以上に膨らみ6億3600万円、経常損失は3500万円まで縮小する見通しを出している。

下期の伸びは、ドイツでの病院向けのサービスが軌道に乗り、HALの新モデルが投入することを前提にしている。膝や肘関節の集中トレーニングに用いる単関節モデルや、介護や重作業支援に用いられる腰補助モデルなどで、現在は開発に余念がない。サービス展開や新モデル投入を予定通り進められるかがポイントになる。

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