「MAZDA3」発売1年、挑戦の稔が見えた通信簿 「引き算の美学」と「SKYACTIV-X」の成果

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エンジンの特性を考えると、ガソリンエンジン車は価格の安さが魅力で万人向けだと言える。ディーゼルは価格が若干高いものの、トルクの太さによる発進加速や追い越し加速などの力強さ、そして燃費の良さがメリットだ。

ただし、ディーゼルは停車中の音と振動が若干気になるので、頻繁に停止を繰り返すような環境を日常的に走る人には、オススメしない。逆に、走り始めたらほとんど停車することなく、ある程度の走行距離を走るユーザーとのマッチングが良好。高速道路などを走ると簡単に20km/Lを超える燃費は、大きな魅力だ。

SKYACTIV-Xの実力は?

注目は「SKYACTIV-X」と呼ぶ、特別な技術を使ったガソリンエンジンである。マツダとしてもMAZDA3が初めての搭載車となるこのエンジンは、特殊な燃焼方式を採用している。

火花点火制御圧縮着火(SPCCI)と呼ぶ点火方式は、量産車としてマツダが世界で初めて実用化したもので、ガソリンを燃料としながらもディーゼルエンジンのように圧縮着火(圧縮の制御としてスパークプラグによる点火も活用する)するのが、技術的な注目ポイント。その狙いは、少ない燃料で高効率な燃焼を行うことにある。

SKYACTIV-Xエンジン(写真:マツダ)

実際の走りはどうだろう。低回転域では、一般的な同排気量のガソリンエンジンに比べて太いトルクがあり、少し排気量の大きなエンジンに乗っている感覚だ。

一方でディーゼルエンジンとは異なり、独特の振動や騒音はなく高回転も気持ちよく回るから、たしかにマツダの言うように「ガソリンエンジンとディーゼルエンジンのいいとこどり」といえる。さらにわずかにアクセルを踏み込んだときのエンジンの反応が心地よく、運転する爽快感もある。

このSKYACTIV-Xを味わう際は、自分でエンジン回転数を管理できるMTであればベター。優れたフィーリングを味わうことができるからだ。街中でも峠道などでも、緩やかに加速するときのドライバーの操作と加速がシンクロするリニアな感覚は、心躍るものがある。

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