「MAZDA3」発売1年、挑戦の稔が見えた通信簿 「引き算の美学」と「SKYACTIV-X」の成果
そのデザインは小さなリヤドアウインドウによる後席の閉塞感や、斜め後方視界の悪化などの犠牲の上に成り立っているのは事実。しかし、息をのむほどの美しさには、それを払拭するだけの魅力がある。そして、無難を狙うのではなく若干の犠牲を払ってでもデザインを追求する姿勢は、高く評価したい。
こういう彩りのあるクルマこそが、実用性やコストパフォーマンスだけにとらわれることなくクルマ選びを充実させ、カーライフを楽しませてくれるからだ。この5ドアハッチバックが、MAZDA3の本命といえる。
一方でセダンは、端正な雰囲気を重視している。
年配の人も含めた誰もが受け入れやすいプロポーションで、癖のないスッキリとした雰囲気だ。開発者によると、「5ドアハッチバックは好き嫌いが分かれるのを恐れず、個性と美しさを追求した。一方で4ドアセダンは多くの人に好まれるデザインを心掛けた」という。
その作りわけも常識外で、通常ならコストを考えてハッチバックとセダンで共通部品とするフロントフェンダーやフロントドアも、ボディごとにデザインを分けているのだから恐れ入る。とにかくこだわっているのだ。
SKYACTIV-Xを含めた4種のエンジン
発売から1年を経ての日本国内におけるボディタイプ別販売比率は、5ドアハッチバックが76%、セダンが24%となっている。ちなみにセダン購入者のうち2割強は20歳台で、「若い世代の人にもMAZDA3セダンは受け入れられている」とマツダは見ている。
エンジンは排気量1.5リッターと2.0リッターの標準的なガソリン、1.8リッターのディーゼル、そして「SKYACTIV-X(スカイアクティブ・エックス)」と呼ぶ2.0リッターのスペシャルなガソリンエンジンをラインナップ。
発売から1年でのパワートレイン別比率を見ると、1.5リッターガソリンが32%、2.0リッターガソリンが36%、ディーゼルが26%、そしてSKYACTIV-Xが6%。トランスミッションは95%がATだが、5%のユーザーはMTを選んでいる。MT比率は、昨今のクルマとしては異例に高いと言えるだろう。
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