地方を強く、JR東日本「ローカル線戦略」の全貌 電気式気動車を各地に配備、無線信号の実験も
今回は奥羽本線、五能線、津軽線を走っている従来型気動車キハ40形、キハ48形の置き換えとしてGV-E400系23両が投入される。
2019年には一足先に羽越本線、信越本線などに計40両のGV-E400系が投入され、2020年3月のダイヤ改正でキハ40系列からの置き換えが完了している。JR北海道でもGV-E400系と基本設計を合わせ、極寒対策仕様を施した電気式気動車「H100形」を導入し、キハ40形からの置き換えを進めている。
JR東日本はGV-E400系のほかにもさまざまなタイプの車両を開発し、気動車からの置き換えを各地で進めている。豪華列車「TRAIN SUITE(トランスイート)四季島」に使われるE001形も、エンジンで発電した電力で駆動する機能を備えている。
さらに、「ACCUM(アキュム)」という愛称を持つ蓄電器の電力を用いて駆動する車両もあり、EV-E301系が2014年から烏山線で走っている。秋田エリアでも男鹿線でキハ40形からの置き換えとして蓄電池式車両のEV-E801系が2017年から投入されている。
無線技術で地上設備を削減
このようにローカル線の車両が電気式気動車や蓄電池式気動車に置き換わりつつあるが、JR東日本は信号インフラでも新技術の導入を進めている。
現在注力しているのは無線式列車制御システム。従来型の列車制御システムでは、列車がどこを走っているかは地上の設備が検知し、大量のケーブルを使って列車や踏切などへの情報伝達を行っているが、無線式列車制御システムでは、車両に設置された機器が位置検知を行い、無線で地上との通信を行う。地上設備が大幅に削減されるため輸送の安定性が向上するほか、メンテナンスも効率化され費用削減につながる。仙石線や埼京線で導入済みだ。
さらにJR東日本はGNSS(全地球航法衛星システム)と携帯無線通信網を活用した世界初の列車制御システムを開発し、このシステムの踏切制御機能を検証する走行試験を八高線で開始すると9月3日に発表した。GNSSを使って列車機能を探知し、携帯無線通信網を使って列車や踏切などへの情報伝達を行う。仙石線や埼京線と異なり、自社の専用無線ではなく一般の携帯無線を使用する。
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