コンビニがいま総菜と冷凍食品に力を入れる訳 コロナ後の戦略は「内食」と「外食」にも照準

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コンビニの顧客はこれまで、自宅そばや駅の近く、職場付近など複数の店舗を利用していた。よく購入される商品は、移動中でも食べやすい、おにぎりやサンドイッチが主力商品だった。

しかし、新型コロナウイルスが拡大した3月以降、コンビニ各社の既存店売上高は減少傾向が続いている。2009年から「近くて便利」を掲げ、ファミマやローソンとの差をつけている業界首位のセブン-イレブンですら前年同月比マイナスが続いている。

既存店売上高の減少は客数の減少が原因だ。外出自粛によりまとめ買いをする顧客が増えて客単価は伸びる一方、通勤途中にコーヒーを買うといった需要がなくなり、来店頻度が減少した。ローソンのPonta会員のデータで2020年2月と6月を比較すると、店舗から半径354メートル以内(徒歩5分圏内)に居住する人の来店数は2%増加しているが、店舗から自宅の距離が離れるほど来店頻度が落ち込んでいる。

客単価を上げる取り組みも

都心部のオフィス街や観光地での販売減少が大きく、住宅地での売り上げ増加ではカバーできなかった。詳細な数字は非公表だが、コロナ後は売れ筋商品も変化しており、各社ともおにぎりやパンなどの販売減少によって打撃を受けている。

セブンは客単価を上げる取り組みも進めており、グラタンのサイズを小さくし、サラダと組み合わせて購入してもらえるような販売実験を行っている。新型コロナで節約志向が高まるかと思いきや、ハンバーグなどの高単価PB「セブンプレミアムゴールド」の販売も増えている。

セブンの高橋商品本部長は「外食は控えるが美味しいものを食べたい層は一定程度いるので、(コンビニでもとにかく安価な商品を求める)価格競争にはならない。家で消費するための買い物ではバスケットサイズ(客単価)が広がっており、1回で買い物を完結できる陳列や商品提案をしていく」と話す。

ファミマとローソンは、高価格おにぎりなど中食商品のテコ入れに加え、コロナ禍で伸びている冷凍食品、豆腐や納豆などの日配品や総菜の強化を進める。

ローソンの藤井均商品本部長は「コロナ前はコンビニらしいおにぎりなどに注力し、(日常使いをイメージさせる商品に)あまり力を入れていなかったが、顧客の望んでいる商品が(新型コロナが拡大してから)変化している」と分析。生鮮野菜の販売や冷凍フルーツ、冷凍野菜などを強化していく。

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