2枚の大窓「湘南顔」、昭和の鉄道車両に大旋風

大手私鉄からローカル線、森林鉄道まで席巻

今も現役で活躍する湘南顔の車両で比較的目立つのは、地方私鉄に譲渡されることが多い元京王電鉄の車両だ。

銚子電鉄で「2000形」として現役の元京王電鉄2010系(筆者撮影)

京王は昭和20年代後半から30年代にかけて、相次いで湘南顔の車両を導入した。1953年に登場した2700系や後継の2000系、2010系、井の頭線の1000系は典型的な“湘南顔”で、京王時代はグリーン一色だったことから「グリーン車」と呼ばれ親しまれた。

2010系は1984年に京王線から引退して伊予鉄道(愛媛県)へ譲渡され、同社の800系として2010年まで運行。2009年11月には2編成4両が銚子電気鉄道(千葉県)に譲渡され、現在も2000形として活躍している。

各地を走る元井の頭線の「湘南顔」

井の頭線を走っていたステンレス車両3000系も湘南顔だ。1962年に最初の車両が登場し、2011年まで同線で活躍。90年代半ば以降にリニューアルされた車両は前面の窓が側面まで回り込む曲面ガラスになり、正統派の湘南顔とはちょっと違う表情になったが、2枚窓であることに変わりはない。

上毛電鉄を走る元京王電鉄井の頭線3000系の「700形」(筆者撮影)
南海電鉄21000系。高野線急行で活躍する南海での現役時代の姿だ(筆者撮影)

3000系は井の頭線から引退した後も、軽量構造と使いやすさから地方鉄道に多くが譲渡されて現役だ。”正統派湘南顔”の車両が走るのは上毛電鉄(群馬県)、岳南鉄道(静岡県)、北陸鉄道(石川県)で、往年の井の頭線の名車を堪能できる。前面窓回りをマイナーチェンジしたタイプはアルピコ交通(長野県)、伊予鉄道で使用されている。

今も走る昭和30年代生まれの湘南顔の電車としては、元南海電鉄の21000系も挙げられる。1958年に登場して高野線で「ズームカー」として親しまれ、廃車後は一畑電鉄(現・一畑電車、島根県)や大井川鉄道(静岡県)に譲渡された。一畑電車では3000系として2017年まで運転、大井川鉄道では現在も南海時代の塗装で現役だ。

南海は本線用の11001系(のちの1000系)も湘南顔だった。11001系は京福電鉄福井支社(福井県、現えちぜん鉄道)に譲渡され、21世紀初頭まで現役だった。

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