香港から「出て行く人たち」はどこへ向かうのか 香港人だけでなく、外国人やメディアまでも

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習近平国家主席は、極東アジアで最も活気のある民主主義国家である台湾を必要であれば武力で中国に再統合したいと考えているきらいがある。しかし、蔡英文総統は中国政府の強引な行動を明確に非難している。

「台湾の人々は長い間、香港の人々の窮状に共感しており、われわれは困っている人々を支援し、保護するために実質的な行動を取っている。私たちの台湾香港サービス交流事務室は、香港人がここ台湾での新しい生活に移行するのを支援することに専念している」と6月19日のツイートに書いている。

2019年には、5000人の香港人が台湾での居住を申請し、今年はさらに数千人が見込まれている。「35歳以上の人は、報道の自由がなく、集会の自由もなかった戒厳令の時代を覚えており、人々は民主主義を取り戻そうと戦ってきた。私たちは昔の悪い時代には戻りたくない」と、台湾で「デジタル大臣」を務める唐鳳(オードリー・タン)は話す。

「だからこそ、近年の中国が戒厳令時代と私たちが記憶している状態、つまり、政府を批判する自由がなく、ジャーナリズムの自由が著しく阻害されているのを、私たちはそこに行きたくないというだけではなく、私たちが乗り越えてきた構造的な問題として見ている」

もう1人はイギリスのボリス・ジョンソン首相だ。

「香港が成功しているのは香港人が自由だからだ。香港人は自分の夢を追求し、才能が許す限り高みを目指すことができる。彼らは新しいアイデアを議論し、共有することができ、好きなように自分自身を表現することができる」と、ジョンソン首相は、6月3日、ある新聞に寄稿した。

同首相は、イギリスがイギリス海外市民旅券(BNO)の保有者を対象に移民規則を変更すると約束した。現在、香港には約35万人のBNO保有者がいるが、約300万人(香港の人口の40%)の香港人が新たに対象となる。

対象者は、5年間イギリスに滞在して働くことができ、イギリス市民権へのルートをたどることができる、とボリス・ジョンソンは述べた。イギリス外務省によると、今後数年間で20万人の香港人がイギリスに移住する可能性があるという。

才能ある人々が香港にとどまっていたのは、香港が人民主権に裏付けられた一連の原則に支配され、それが彼らを自由にしてくれていたから。中国の恣意的な権力に取って代わられた原則の下では、人々は民主主義国家へと去っていき、やがては中国の弱体化につながりかねない。

レジス・アルノー 『フランス・ジャポン・エコー』編集長、仏フィガロ東京特派員

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Régis Arnaud

ジャーナリスト。フランスの日刊紙ル・フィガロ、週刊経済誌『シャランジュ』の東京特派員、日仏語ビジネス誌『フランス・ジャポン・エコー』の編集長を務めるほか、阿波踊りパリのプロデュースも手掛ける。小説『Tokyo c’est fini』(1996年)の著者。近著に『誰も知らないカルロス・ゴーンの真実』(2020年)がある。

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