在宅勤務で必要なのは「頑張り」ではなく4視点 短期的な数字だけを追う成果主義は失敗する
けれど、リモートワークが中心となるこれからの時代では、同じ場所と時間を共有することがなくなり、人間関係も希薄になっていくかもしれません。頑張る姿も、直接目にすることはできません。会社(=顧客)が求めるのは、「成果」に絞られていきます。
一般的な顧客との関係においても、お客様に対して「いやぁ、頑張ったんですけどね」などと言っても、商品やサービスに価値を認めてもらえなければ、お金を払ってもらえませんよね。社員と会社の関係も、それと同じようになっていきます。
ましてや、今や多数の企業が廃業を迫られる、未曾有の不況が訪れようとしています。社員と会社の関係は、よりシビアでドライな、本質的な雇用関係、いや「契約関係」に変化していくはずです。
目標は与えられるものでなく、自分自身でつくるもの
日本では、約8割の企業が「目標管理制度(MBO)」を導入しています。これはもともと経営学者のピーター・ドラッカーが提唱したもので、上司から一方的に指示して業務を遂行させるのではなく、社員一人ひとりが組織の目標について考え、自分で目標設定を行い、上司と相談したうえで実行し成果を出すという、「自身と組織の目標をリンクさせるマネジメント手法」です。
上から目標を与えるのではなく、個々が何をすべきかを考え、自分自身で目標を決めるので、社員も「やらされ感」がなく、意欲的に仕事に取り組め、かつ組織の成功にも貢献できる、とされています。
MBOは目標達成と人材育成が一体化した優れた人事制度ですが、残念ながらうまく運用できている会社は多くありません。そもそも上から目標を落としているケースが多く、ドラッカーが提唱していた本来の考え方とは違ったものになってしまっているのが実情です。
しかし、リモート時代に必要になってくるのは、本来の意味での「目標管理(Management of Objectives and Self Control)」=「目標と自己統制によるマネジメント」です。
「目標とは、与えられるものではなく、自分自身でつくるもの」
ドラッカーがそう提唱したのは1954年。今から70年近くも前のことですが、当時も肉体労働から知的労働へと人々の「働き方」が大きく変わる時期でした。
今、私たちも「働き方」が大きく変化する時代の転換点に立っています。「目標と自己統制によるマネジメント」という発想を改めて捉え直し、実行すべき時期が来たのだと思います。