GAFA社員が「愛社精神は無価値」と判断する理由 彼らの頭の中は「次の転職先」のことで一杯だ

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自身も投資家であるイーロン・マスク氏(テスラ、スペースXの共同設立者およびCEO)は数百億ドルの資産を持つ世界有数の「お金持ち」の1人ですが、彼のような人が事業を始めたら、その分野が「次のはやり」だと見てよいでしょう。マスク氏は現在、ロケット事業に力を注いでいますが、この分野にベンチャー・キャピタルもどんどんお金を出しています。

シリコンバレーのトップ企業のCEOがやり始めたとか、ベンチャー・キャピタルが投資し始めたという情報を見れば、ある程度その事業の将来予測はできるのです。

「社会に必要なもの」に投資されない理由

不思議なのは、本来であれば、社会問題の解決に役立つような技術に先行投資がなされるべきですが、現実はそうなっていません。

『シリコンバレー発 スキルの掛け算で年収が増える 複業の思考法』(PHP研究所)。書影をクリックすると、アマゾンのページにジャンプします

ロボット開発の分野でいえば、たとえば犬型ロボットよりも、世界の貧困層が飢餓にならないための自動農業ロボットや、医師の手術が難しい特殊なガンを治す医療ロボットなどのほうが、世の中のためになるかもしれません。しかし、それらは儲からないといった理由から、社会に必要な技術には投資されないという悲しい現実があります。

いずれにしても、世界の強国であるアメリカのシリコンバレーの「動き」に注目していれば、次にはやる分野を見つけるのは、そう難しいことではないと思います。

アメリカの場合だと「ホット産業」に目を向けるのもいいでしょう。具体的な企業名を挙げると、

シスコ(コンピュータネットワーク系)

Google・Facebook・Amazon(クラウド・SNS系)

VMware・Splunk(仮想化・ビッグデータ系)

と7、8年周期で推移していきました。正直、いまの私のプログラミングスキルは、Googleなどで働いている人より劣ると思っています。それでも、GoogleやAmazonよりも給与が高いのは、ホット産業に身を置いているからです。

自分には得意分野がない、何が好きなのかわからないと思っている人は、投資家や著名な経営者の発言などを参考にして、「次にきそうな産業」に身を投じるのも1つの手でしょう。

酒井 潤 ソフトウェアエンジニア

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さかい じゅん / Jun Sakai

1998年、同志社大学神学部卒業。サッカー推薦で大学に入学し、在学時は大学日本代表に選出。2002年、北陸先端科学技術大学院大学情報科学専攻修士修了。04年、NTTドコモ入社、05年、ハワイで起業。その後、米国にて複数社勤務後、現在は、全米給与ランキング4位の米国Splunk,Inkにてソフトウェアエンジニアとして勤務。現在はUdemyの講師としても活躍する。

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