DEAN&DELUCAのエコバッグがバカ売れのワケ 休業明け、売り上げは一気にプラスに転じた

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これらが功を奏したのか、六本木ミッドタウンオープン(2008年)の少し後ぐらいから、事業は上向きになり始めた。ちょうどリーマンショックの頃である。売り上げが落ち込んで当然の時期に、いわば逆転勝利を実現したわけだ。横川氏は「偶然の積み重ね。ボールを半歩先に投げ続けてきた結果、気づいて受け止めてくれた人の連鎖で一気に加速した」と説明する。

DEAN & DELUCA旗艦店の六本木店(写真:ウェルカム)

時を同じくして、中国冷凍ギョウザの毒物混入事件などが起こり、食への安全意識が高まっていたことも追い風になった。

売り上げの約3%を占める「トートバッグ」

そしてもう1つ、ブランドの知名度向上に一役かったのが「トートバッグ」だ。「DEAN & DELUCA」のロゴが入ったシンプルなバッグは、ブランドを知らない人でも、見れば「ああ、あのバッグ」と思い当たるぐらい、広くイメージが浸透している。日本のDEAN & DELUCAでは2007年に発売し、大ヒット商品に。累計販売数は200万個以上に上っている。現在もDEAN & DELUCA事業の売り上げのおよそ3%を占める程になっている。

DEAN & DELUCAの顔とも言える、ロゴの入ったトートバッグ(写真:ウェルカム)

「アメリカでの発売は1995年ぐらいからで、本国では環境意識の高まりが背景にあった。われわれは最初はエコバッグとして売り出したわけではないのですが、もちろん、食と環境はつながっていますから、食を大切にするためには、環境への意識は欠かせない。その意味も込め、自分たちにできることとして販売しています」(横川氏)

こうしてひとたび、同社を救ったトートバッグ。実は今回のコロナでも大活躍をしたという。

日本のDEAN & DELUCAも4月、5月は店舗を休業、6月から再開するも、リモートワーク化の影響で、駅ビルなどに出店の多い同ブランドの売り上げは減少していた。

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