日本経済がコロナ禍で受けたとてつもない衝撃 20年度GDP40兆円喪失、未曾有の財政赤字へ

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縮小

野村証券チーフエコノミストの美和卓氏は「企業の資本投下減少を背景に、実質潜在成長率は0%台前半に低下し、それが常態化するだろう。何も手をうたなければ1%成長は達成しにくい」とみている。40兆円の経済規模縮小は、人口減少社会の日本にとって回復への道をより険しくするものとなりそうだ。

税収不足続き、財政収支改善見込めず

財政再建も一層遅れ、海外主要国と比較して突出して膨らんでいる債務残高規模も一層の拡大を余儀なくされそうだ。「中長期試算」では、今年度の基礎的財政収支のGDP比は2002年の試算公表以来初めて2桁に乗せ、およそ67.5兆円の赤字を想定している。19年度の赤字幅は14.5兆円で、一気に4.7倍に膨らんだ。債務残高は1147兆円と、GDPの2倍超に達した。

大和総研シニアエコノミストの神田慶司氏は「この先も税収減と歳出増で、財政収支の改善はなかなか難しい」と指摘。今回の試算の見通し範囲である20年代の間に黒字化のメドは立たないとみている。

世界的に感染症の拡大が止まらず、海外でも第2波が到来するという国際機関のシナリオも現実味を増す。政府の経済見通しでは、4、5月を底に経済の早期回復を前提としても今年度は4.5%のマイナス成長、第2波到来シナリオをベースするとマイナス5%シとなる参考値も公表、経済規模縮小はさらに進む可能性がある。

このため、与党内では、再度の感染対策と事業継続支援、さらには景気対策も含めて「大規模な第3次補正予算が必要だ」との声が幹部クラスからも強まっている。感染防止と経済立て直しを優先しつつも財政規律を意識する経済官庁幹部からは「これ以上の大規模歳出増には耳を貸したくない」といった声があがっている。

(中川泉 編集:石田仁志)

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