名物スイッチバック復活、豊肥線が全線再開へ 熊本から阿蘇へ、4年4カ月ぶりに列車が走る

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8月8日からは特急「あそ」を熊本―宮地間で毎日1往復、夏休みなどの多客期には3往復運行する。九州横断特急は熊本―大分・別府間で毎日2往復。土休日などは1往復を「あそぼーい!」として走らせる。

大分側から熊本地震後初めて阿蘇駅に到着した特急「あそぼーい!」=2017年7月8日(記者撮影)

あそぼーい!は震災前は熊本―宮地間で運行していたが、豊肥線の被災によって、博多―門司港や博多―ハウステンボスで臨時運転。2017年7月に大分から阿蘇エリアを結ぶ特急として復活した。全線再開後は熊本―阿蘇―大分・別府と震災前より運行区間が長くなる。

立野駅から高森方面へ分岐する第三セクターの「南阿蘇鉄道」も同じく震災で大きな被害を受け、立野―中松間(10.6km)が依然不通となっている。2023年夏の全線再開を目指しており、同社線のホームに新しい駅の建物が完成する予定だ。

「開通で熊本を元気に」

JR九州豊肥本線復旧事務所の諸田勝也所長は、震災からの4年4カ月について「正直、被災現場を見たときは鉄道として直せるのかと思ったが、国や県、作業に従事する方々の協力でようやく運行再開にこぎつけられた。大変うれしい気持ちでいっぱいだ」と語った。

一方、豊肥線の全線再開を目前にした7月上旬、今度は八代から人吉に向かう肥薩線や、久留米から由布院を経由して大分までを結ぶ久大本線で豪雨による橋梁流出といった甚大な被害が発生。どちらも観光客に人気の路線だが、復旧に相当な時間が見込まれる事態となった。

今年は新型コロナウイルスの感染拡大懸念が、外国人観光客でにぎわっていた九州各地の観光に影を落とした。そこに今回の豪雨が追い打ちをかけた格好だ。

JR九州のクルーズトレイン「ななつ星 in 九州」は久大線が被災したため、8月15日出発分から1泊2日コースの2日目に本来予定していた由布院立ち寄りを取りやめ、豊肥線で熊本から阿蘇エリアへ乗り入れる行程に変更する。

諸田所長は「豊肥線開通の明るい話題で熊本を元気に盛り上げていければ」と力を込める。豊肥線の全面再開が九州観光復活の呼び水となれば、豪雨で被災した路線にとっても復旧への希望の光が見えてきそうだ。

橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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