「保護犬」2匹の里親になった彼女が見た輪郭 犬も人間と同じようにそれぞれの性格がある

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ギーの保護主の渡辺さん。ちょっと曲がった眼鏡が日々の忙しさを感じさせる。『いとしのギーより』

無条件に愛してくれなくても、犬は愛しい

保護された背景が違えば、当然それぞれ性格も違う。譲渡のときのお見合いはとても大切だけど、それ以前に犬に対する考え方も大事だと渡辺さんは言う。「1つの出来事について、気持ちを同じくすることができればどんなにいいかと思うけど、人間同士だってそううまくはいかないのに、ましてや人と犬となると。こっちの気も知らないでと言いたくなったりもして……。

かと思えば、まったく予想してないタイミングでいきなり寄り添って来てくれたり、犬って生き物の不思議さとか言葉が通じないがゆえの歯がゆさや、逆に通じないからこその面白さ、あたたかさがある」この渡辺さんの考えにすごく同意した。

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私が心を開かないギーと接するときに気をつけているのは、「自分のペースにギーを巻き込まない」「ギーが気が向かないことを“楽しいよ”と無理強いをしない」「ギーから来てくれるの待つ」「でも待ってるからねという態度もしない」ということだった。

どうしても私たち人間は、犬に対して「かわいくあってほしい」「無条件で人間を愛してほしい」という願望がある。その願望がギーのような人馴れに時間がかかる犬の肩身を狭くしている気がする。犬にも人間のようにそれぞれ性格がある。そこを心にとめることが、保護犬に限らず、犬を迎え入れるために必要なことだと思う。

同じ保護犬でもオカメとギーの性格は全然違う(『いとしのギー』より)
おおが きなこ 漫画家・イラストレーター

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Kinako Ooga

1984年生まれ。SNSやWEBを中心にさまざまな漫画を発表している。人の心の些細な葛藤をしつこく掘り下げていくのがスタイル。座右の銘は「嘘を描くな」。現在は、元野良犬の「ギー」と新たに加わったシーズーの「マル」の2匹と一緒に暮らしている。著書に『今日のてんちょと。』がある。

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