外出自粛下で鉄道写真家は何を撮っていたのか スキルを増やせば自分の仕事の幅が広がる
政府から新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言が発令された4月7日、それまで自発的に行われていた外出自粛が都道府県知事による要請になり、経済・文化活動が大きく制限される事態になった。
鉄道写真撮影を生業としているわれわれプロの鉄道写真家もその渦にのみ込まれた。5月25日に全国的に緊急事態宣言が解除されたものの、他県からの、特に関東からの流入をよしとしない個人的活動、いわゆる『自粛警察』の問題もあり、私はその後も撮影を自粛していた。ようやく大空の下で鉄道車両を撮影できたのは緊急事態宣言発令から2カ月以上経っていた。
しかしながら春から初夏へのベストシーズンは「稼ぎ時」なだけに、鉄道写真などアウトドア派のプロ写真家にとって、2カ月間も外で写真を撮れないというのはかなり痛手だ。かくいう私も来年以降のカレンダーや図鑑、さらには締め切りが迫る時刻表の表紙用写真などの撮影が山積していたが、行動することがかなわず時計の針が進んでいくのを断腸の思いで見守るしかなかった。
鉄道模型の撮影に挑戦
ただ、緊急事態宣言下でもまったく仕事がなかったわけではない。鉄道誌の連載やカメラ雑誌の原稿書き、オンラインセミナーの資料作りなどがあったので、怪我の功名というべきか集中して進めることができた。
しかしカメラで撮影したくてたまらない発作のような気持ちが日に日に募っていった。そこで始めたのが「鉄道模型撮影」だ。鉄道模型撮影を専門とするプロ写真家が撮るような高度な撮影技術も機材もなく、そして環境もない。あくまで私の「撮影したい発作」を抑える応急処置だ。
まずは鉄道模型を用意。私の持っている鉄道模型は線路幅9mmのいわゆるNゲージだが、実物の約150分の1というサイズはやはり小さい。その小さなNゲージの車両を大きく撮るにはマクロレンズやシフトレンズなどの特殊なレンズ、または最短撮影距離の短い標準レンズを使うのが一般的だ。
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