さらに戻ってプレミアムシート車の“カフェスポット”に立ち寄る。
3号車には冷めたい飲料の自動販売機も備えられている。かつての名阪特急では2代目ビスタ・カーを描いたカップで飲み物を提供してくれていた。
購入したコーヒーとスナック菓子を持って、自分の席へと帰り着く。ひじ掛けに組み込まれたテーブルを拡げて感動。ひじ掛けの収納式テーブルのためのアームは、磨き上げられた金属地肌やネジの頭などに機械美、機能美を見せる、必要な強度を考えただけの設計ではこうはならない。見た目だけを大切にしたデザインではすぐに壊れてしまう。
窓に沿った張り出しの大きさにも感心させられた。非常に余裕がある。端には縁取りがあるから、上に載せたものが少しぐらい滑っても、大丈夫。
なにより、アクティブサスペンションの威力は絶大だ。さきほどまでの列車内回遊でも、大きくよろけることはほとんどなかった。もっとも、軌道の整備が行き届いていることと、台車の基本的なセッティングが適正に保たれていることが前提条件ではある。
これから本数がどんどん増える
気がつけば列車は青山トンネルを潜ってひたすら鈴鹿山脈の東麓を駆け下っている。伊勢中川のデルタ線をゆっくり通過して名古屋線へ入ると間もなく、津に到着。
そういえば、現在の名阪特急はすべての列車が津に停車する。東武鉄道の“けごん”や小田急電鉄の“はこね”も途中駅にたくさん停車するようになって久しい。
コーヒーを味わい終え、後部運転室の仕切ガラスにへばりついて後方展望を楽しんでいたら、大阪行きの“ひのとり”とすれ違った。非常に貴重な瞬間だが、この風景はあと1年も経たないうちに当たり前になる。
後ろ向きにセットしたシートに座ったままでこの風景を堪能することができれば百点満点、いうことなしだったのだけれど。
終着駅が近づくと、2画面の大きく鮮明な液晶表示装置により、近鉄名古屋駅構内の様子が示された。“ひのとり”の絵表示がうれしい。
電動リクライニングのバックシェルシートやフリーWi-Fi、交流100Vの電源コンセント、電動カーテン……。今回紹介できなかった、近鉄が強調したいだろうこの電車の特徴は、まだまだたくさんある。けれど的を絞ったことで、この電車のさらなる“最強ポイント”をご案内できたのではないだろうか。
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