横浜駅「永遠に未完の工事」がついに終わった? 地下の「馬の背」解消と新駅ビル完成で一段落

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JR東日本が主要駅の駅ナカを中心に展開している個人向けシェアオフィス「STATION WORK(ステーションワーク)」の会員も一部エリアを利用可能。横浜駅周辺でちょっと仕事をしたいと考えるビジネスパーソンなら、喫茶店を探すよりはステーションスイッチを利用するほうが手軽だし快適かもしれない。

JR横浜タワーにある会員制のワークスペース「STATION SWITCH(ステーションスイッチ)」の内部(記者撮影)

ステーションスイッチの担当者は「隙間時間といった短い時間だけでなく、アロマやオーシャンビュー、ライブラリーなど、気分転換できる仕組みもあるので、長時間お過ごしいただくことも可能」と話す。

新型コロナでテレワークが当たり前になりつつあることも普及を後押ししそうだ。

工事はまだ終わらない?

JR横浜タワーの完成で長年続いた横浜駅の工事は一区切りついたといえる。隣接するJR横浜鶴屋町ビルも6月にオープンした。

もっとも、これで横浜駅の工事が終わったわけではない。駅西口では「中央西口駅前広場」と「きた西口駅前広場」の2カ所で屋根の設置や舗装の整備といった工事が行われている。横浜市によれば、工事はⅠ期、Ⅱ期に分かれており、Ⅰ期は完成済み。Ⅱ期はJR横浜タワー前広場の屋根は2020年度末までに設置される計画だが、場所や工事内容によっては完成がそれ以降になることもあるようだ。

では、これで未完の工事に終止符が打たれるかというと、そうでもない。これらの横浜駅の再開発は横浜市が2009年にとりまとめた「エキサイトよこはま22(横浜駅周辺大改造)」が下敷きとなっているが、市が当時作成したイメージ動画からは駅の東西を歩行者デッキでつなぐ、地下、地上、デッキを円滑につなぐターミナルコアを設けるという計画があることがうかがえる。

この動画は「個別のビルや施設の計画を約束、拘束するものではない」という注意書きを入れているが、馬の背解消も動画に含まれており、まったく関係ないということはない。だとすると、新型コロナウイルスの影響で計画が軌道修正となる可能性はあるにせよ、横浜駅の工事はさらに続くことになる。

駅はさまざまな目的を持った人々が集まる場所だけに、時代のニーズに合わせて改良を行うことが欠かせない。その意味では、駅が「未完」であるのはある意味で必然なのかもしれない。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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