東芝vsモノ言う株主、ガバナンスめぐる攻防戦 旧村上ファンド出身者が社外役員選任求める

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國廣氏が短期的な売り買いで儲ける「ハゲタカファンド」との違いをエフィッシモ側に問いただしたところ、エフィッシモから「自分たちは村上ファンドの失敗を反面教師とし、短期的な利益ではなく、東芝の中長期的な企業価値の向上を図るためにエンゲージメントを行っている。コンプラアインスを最重要視し、投資先の中長期の企業価値の向上を図っていくのが基本姿勢で、この原理原則は絶対にゆるがせにしない」との説明を受けたという。

それを受け、國廣氏はエフィッシモの説明は十分信頼できると判断。必要な助言を行うことに同意したという。そもそも今回の東芝問題については同じ問題意識を持っており、「東芝の体質を改善するには社外取締役の株主提案が欠かせない」(國廣氏)という結論に至った。コンプライアンスや内部統制、コーポレートガバナンスの観点から優れた実務的人材の推薦をエフィッシモから求められたため、國廣氏が竹内氏と杉山氏を推薦したという。

東芝はエフィッシモと全面対決姿勢

取締役候補に推薦された杉山氏は元花王執行役員で、法務畑を歩んできた。杉山氏は「東芝は頭と胴体がうまくつながっていない。現経営陣の手が回っていないからだろう。私は花王の役員時代にそうした経験を培ってきたので役立てる」と指摘する。

エフィッシモ側の法務アドバイザーに就いた國廣正弁護士は「東芝の体質改善には株主提案が欠かせない」と訴える(撮影:尾形文繁)

國廣氏も「東芝の社外取締役はみなさん立派だが、大所高所の面がある。トップの意向を手と足を使って現場に具体的に浸透させる社外取締役が今は大事だ。それを担えるのが杉山さんだ」と太鼓判を押す。

だが、東芝はエフィッシモの株主提案について6月22日の取締役会で正式に反対を表明した。東芝の不正会計問題直後の2015年9月から社外取締役を務めてきた小林喜光・取締役会議長(三菱ケミカルホールディングス会長)が今回退任。後任として中外製薬の永山治名誉会長を据え、残る11人が再任する取締役選任案を株主総会に諮る。

東芝取締役会議長の小林氏は22日にオンライン記者会見を開き、エフィッシモなどの株主提案に反対する理由について、「外国籍4人の取締役を含めて、東芝としては非常にバランスの取れた配置であると考えて、会社提案を今回の指名委員会で決めた。株主と対立する意図はまったくない。株主提案もかなりいろいろと議論した」と指摘した。

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