東芝vsモノ言う株主、ガバナンスめぐる攻防戦 旧村上ファンド出身者が社外役員選任求める

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東芝は2月にこの取引に関する調査結果を報告し、「特定の取引先の営業担当者が主導していたと考えられ、東芝ITサービスの主体的な関与は認められなかった」と説明。森・濱田松本法律事務所や太陽グラントソントン・アドバイザーズなどの外部調査メンバーも加わって調査したことを強調し、事件の幕引きを図った。

だが、東洋経済の取材に國廣氏は、「東芝が公表した調査報告書はわずか10ページで詰めが甘く、不十分。東芝ITサービスは(他社に)巻き込まれたとして問題を矮小化しており、東芝グループ全体の内部統制上の問題である不祥事の真因に迫ろうとしていない。東芝の姿勢は問題が大きい」と一刀両断する。

対東芝へ、異例のタッグ

エフィッシモは、旧村上ファンドを率いた旧通産省出身の村上世彰氏がニッポン放送株のインサイダー事件で逮捕された際、村上氏と完全に袂を分かつ形で部下だった今井氏ら3人が2006年に設立したシンガポールの投資ファンドだ。

東洋経済の取材に応じたエフィッシモ陣営の國廣正弁護士(左)と杉山忠昭氏(右)(撮影:尾形文繁)

いくつもの上場企業にモノ言いをつけてきた投資家であり、コーポレート・ガバナンスに問題のある割安株に狙いを定めて、企業に株主還元の増加や取締役の選任などを要求していく点に特徴がある。

ただ、村上ファンドのようにマスコミに露出する手法はとらず、マスコミにはほとんど登場しない。今回、これまで企業の不祥事問題を数多く手掛けてきた國廣氏がエフィッシモとタッグを組むのは、異例中の異例といえる。

その國廣氏は「エフィッシモについては正直まったく知らなかった」としたうえで、「3月にある弁護士を通じて、東芝ITサービスの会計不正についてエフィッシモとの面談を打診されて応じた」と経緯を語る。複数回の面談を重ねる中で、エフィッシモのメンバーが旧村上ファンド出身者であることを初めて知ったという。

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