赤字転落も?JR本州3社の20年度「鉄道収支予測」

3つのケースに分けて予測、ピンチの会社は…

一方で、JR旅客会社各社は営業費用の節減を強力に推進しなければならない。そこで次のように仮定した。

ケース1では年間を通じて列車の運転本数を10%分間引いたと同等の営業費用の削減を実施したと見なしている。削減率は先に挙げたとおりだ。

ケース2では4月、5月は列車の運転本数を10%分間引いたと同等の営業費用の削減を実施したと見なし、6月以降は列車の運転本数を間引いた分を20%に増やしたと仮定している。6月以降も定期外旅客の旅客運輸収入の減少率が20%で続くと見込んだことに合わせたものだ。

ケース3では4月、5月は列車の運転本数を10%分間引いたと同等の営業費用の削減を実施したと見なし、6月以降は列車の運転本数を間引いた分を40%に増やしたと仮定している。やはり、定期外旅客の旅客運輸収入の減少率が40%で推移すると予想したことによるものだ。ただし、現実にはこれだけの列車の運転を間引くと、定期旅客にも影響が出る可能性が高い。

JR東日本とJR東海の試算結果

JR東日本

結論から先に言うと、JR東日本の鉄道事業における2021年3月期の営業収支はケース1で74億円の営業利益を上げるものの、ケース2では2119億円もの営業損失が発生し、ケース3では営業損失が4096億円に拡大されると算出された。これだけの巨額の営業損失が求められた要因は2020年4月、5月に合わせて2362億円もの営業損失が生じたと考えられるからだ。なお、仮に同社、そしてJR東海、JR西日本が鉄道事業で営業損失を計上したとすると、1987年4月1日の設立・営業開始以来初めてとなる。まさに異常事態だ。

とはいえ、JR東日本は2020年3月期に単体で2兆5513億円の純資産を有している。乱暴に言えば、ケース3の年度があと6年余り続いても同社自体はびくともしない。だが、営業収支の極端に悪い路線はBRT(バス高速輸送システム)への転換や経営分離、営業の廃止が検討されるかもしれないし、運賃が見直される可能性もある。

JR東海

鉄道事業における2020年3月期の営業利益が6167億円と、JR旅客会社のなかでもJR東海の数値は際立って大きい。このため、2021年3月期の営業損益の予測に当たっても、今回設定したケース1で4106億円の営業利益を計上しているのはもちろん、ケース2でも1879億円の営業利益が見込まれる。ケース2で営業利益を算出すると求められたのはJR旅客会社6社中で同社だけだ。

しかしながら、ケース3では298億円の営業損失が生じると見込まれた。JR東海はリニア中央新幹線の建設費の大多数を借入金でまかなっており、少しでも営業利益を増やして返済能力を上げなくてはならないから大変苦しい。

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