迷走する農業改革、厚い規制の「岩盤」

特区指定も農協保護など「岩盤」

農協は小規模農家が生命線

農協改革も待ったなしだ。現在の枠組みでは、農産物の価格は農協が決定する。その結果、農家にはコスト意識も販売戦略も育たなくなる弊害が目立っている。そのうえ農協には有力な競争相手が見当たらず、生産性向上に向けたメカニズムが存在していないとの指摘が出ている。

伊藤教授は「農協の意識改革としてコスト低下とイノベーションを進め、輸出を目指すシステムに変えていく必要がある。そのためには、生産調整ではなく、競争を持ち込む必要がある」と提言する。

しかし、組合員数を維持していく必要のある農協にとって、小規模農家の戸数が減少しかねない今回の大規模化への流れは、経営の死活問題にもなりかねない問題をはらんでいる。

農協改革を議論すべき場では、政府・自民党関係者の及び腰も目立つ。規制改革会議で農業ワーキンググループ座長を務める金丸恭史・フューチャーアーキテクト社長の発言は、農業改革を推し進めようと意気込んでいた人たちの驚きを誘ったという。

農協改革についてとりまとめが一段落した昨年11月、「岩盤と言われるものがどこにどれぐらいあるのか。私はまだ出くわしていない」と述べた。企業の視点で競争力強化を進めたい規制改革会議との意識のずれを露呈したと多くの関係者に受け止められた。

自民党で「農協の役割に関する検討プロジェクトチーム」座長を務める森山裕衆院議員は「今回、農協改革についても、なるほどと言えるものを出さなければなるまい」と語った。

だが、「どうあるべきかを議論するよりも、まずその実態を知るべき」だとして農協の役割を力説した。農村地帯では営農指導にとどまらず、町の雑貨店から冠婚葬祭の世話まで生活に密着した存在となっている。 森山議員はその点を強調した。

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