「新型コロナ」を追い風にしてしまう株とは? 株価は決算発表シーズン入りでどう動くのか

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一方で、新型コロナ感染拡大対策への貢献が業績の追い風になりそうな企業も決して少なくはない。マスクや消毒液を買い求める消費者で来店客が増加、目的の品物が売り切れていても、“ついで買い”でドラッグストアは活況を呈している。

例えばドラッグストア向けに強い小林製薬(4967)は、インバウンド向けが落ち込むものの、それをカバーする売り上げ増加が期待できそうだ。同じく目薬や化粧品で有力製品を抱えるロート製薬(4527)も決算発表に関心が集まる。院内感染予防事業を手がけるサニックス(4651)は、同事業に動きが出ていないか注目される。長引く学校の休校で需要増加が見込まれるゲーム関連企業や、巣ごもり消費で脚光を浴びる冷凍食品やカップ麺メーカーなども好決算が期待できるだろう。

治療薬やワクチン開発企業は会社コメントに注目

新型コロナ感染拡大が今後、どのように推移するのか予想するのは難しい。また、仮に感染拡大の勢いが下火になったとしても不安が払拭されるわけではない。

しかし、治療薬やワクチンが開発されれば、今回の新型コロナウイルスの問題に一区切りがつくことになる。国内でもいくつかの企業が開発に関わっているが、まず治療薬については、世界的にも有力候補に浮上している「アビガン」を手がけている富士フイルムホールディングス(4901)。

またワクチンについては、アンジェス(4563)が大阪大学と共同で「DNAワクチン」の開発に取り組んでおり、早ければ7月にも治験を開始するという。このワクチンの製造を担当するのはタカラバイオ(4974)で、バイオ産業支援事業が好調で営業利益は過去最高益を更新中、今回の決算発表ではこのワクチンについても何かコメントが出るかもしれない。

全体的に見ると、今月下旬から発表が本格化する2020年3月期決算はかなり厳しい。さらに2021年3月期の業績は非常に見通しにくく、この決算発表シーズンは明るいものではないだろう。ただ、このような厳しい状況においても、力強い買いの手がかりを与えてくれるような決算も少なくはないはずだ。個人投資家に投資の手がかりを与えてくれる決算発表シーズンであることに変わりはない。前向きな姿勢でキラリと光る決算を探していきたい。

有沢 正一 岩井コスモ証券 投資調査部長

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ありさわ しょういち / Shoichi Arisawa

1981年大阪府立大学経済学部卒業。1989年岩井証券入社、株式部、調査部などの勤務を経て、2003年イワイ・リサーチセンターセンター長。2017年5月より現職。日本証券アナリスト協会検定会員。株式投資の対象として有望な企業を発掘するため、関西を中心に企業の調査・分析に取り組むかたわら、個人投資家向けに月10回ペースで株式セミナーの講師を務める。

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