5G導入が激変させる「エンターテック」の将来像 ライブエンタメ変える新技術を専門家が伝授

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また、ライブにAIが組み合わさると、毎回違うオーディエンスの反応を検知して分析し、適切な反応、例えばいちばん盛り上がってくれているファンに向かって手を振るといったことが可能になるという。

これは5Gの超多接続性を生かしたセンサーと、超低遅延が可能にするリアルタイム性が、可能にする“没入体験”の一例となる。ただ、5Gでも、リーズナブルな価格で回線が使えないと普及は難しい。まずは仕組みや装置が発達しないと、楽しむ段階まではいかないのではないか、と鈴木氏は言う。

過去の事例から見る「5G」時代の流行を推測

5G時代にはどのようなアーティストが活躍し、ヒット曲を生み出すのだろうか。

「1980年代のヒット曲はイントロが長い。その理由は、当時はMTVなどのような、『映像で音楽を楽しむ』というカルチャーがはやっていたからなんです。

でも、4G時代の今はスマホで歩きながらストリーミングで音楽を次から次へと聴きます。好みではない曲はスキップします。そうした環境のため、曲が短くて、イントロも短く、楽器のソロがないという傾向が最近のヒット曲にはあるでしょう。

もちろん、この形にすれば必ず売れるというわけではないけれど、テクノロジーによる音楽の楽しみ方の変化に適応できるアーティストが、ヒットを生み出しやすい仕組みになっているんです。

5G時代には“自分というIP(知的財産)をクラウド化”することに柔軟なアーティストが活躍するのではと考えています。

AI美空ひばりなどはいずれも死後にテクノロジーで復活させる取り組みですが、これを現在の活動中にやれるアーティストは、リアルなライブや音楽作品だけではなく、AR/VR空間やゲームなどにどんどん進出でき、新世代のファンを獲得し新たなビジネスモデルを活用するでしょう。

その最前線を行っているのがDJのマシュメロです。彼は世界的ブームのバトルゲームの『フォートナイト』とコラボレーションをして、ゲーム空間内でDJプレイを行い、世界中から約1000万人が参加したと言われています。

Fortnite - Marshmello (Official Music Video)

彼はDJプレイの前から自身の特徴的な被り物とボディスーツを、ゲーム内のプレイヤーが着られる“スキン”として販売していました。これにより、DJプレイ当日は多数のマシュメロ・スキンに身を包んだプレイヤーが参加し踊っていました。当然大きな収益を生んだことでしょう。

こうした歴史をたどると、これから発展する『5G』で独自の表現ができる人が、次の大物アーティストになることを物語っています。みんなそこにチャレンジしてほしいですし、それに対してマネジメントやレーベルも後押ししてほしいですね」

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