憧れの職業「YouTuber」、戦国時代はこう稼ぐ 10代から大人向けにじわりシフトする実態
UUUMを筆頭とする一般的なYouTuberプロダクションの場合、所属YouTuberとマネジメント契約を結び、手数料20%を徴収している。トップYouTuberの場合、月収3000万~8000万円を稼ぐ力があるので収入は膨大だ。その対価として、企業とのタイアップ案件を営業担当者が獲得してくる以外に、撮影スタジオを貸したり、税務処理や賃貸契約といった雑務をサポートしている。
ヒカキンやフィッシャーズといったトップYouTuberのタイアップ費は2000万~2500万円だが、それ以下のクラスとなると数十万~数百万円と幅広い。プロダクションとYouTuberで分配して受け取ることになるが、配分比率は会社や個人によってまちまちのようだ。
「視聴回数が減って、広告収入が落ちてきたYouTuberにとって、事務所の手数料20%は負担。単発のタイアップ企画なら個人でも受注できるので、マネジメント契約というビジネスモデルは限界を迎えている。海外にはほぼなくて日本くらい」(高橋代表)。
ギルドではマネジメント手数料を、税務処理など案件ごとに価格を決め、ガラス張りにしているという。そのうえで「企業からタイアップとして500万円を受け取ったら、YouTuberと一緒に400万円を使い、品質の高い動画を制作するイメージ」(同)。打ち合わせには、企業とギルド、YouTuberが一堂に顔を合わせ、企画を練り上げていく。実際の撮影の手配や編集、ロケ場所やスタッフの手配は、ギルドが行う。
企業とYouTuber、互いに相反する思惑
これだと、再生回数が伸びれば広告収入も見込めるので、企業にとってもYouTuberにとっても万々歳。逆にYouTuberから企画を相談されたら、予算を確保するため、企業にタイアップを売り込むことも多い。社内には営業電話専門のスタッフが常駐しているほどだ。初対面の企業には協賛を持ちかけるケースも多いが、「動画の反響に喜んで、次はタイアップしてくれるようになる」(同)。
一般的にYouTubeでは、テレビのような広告手法は通用しない。YouTuberが新商品の飲料を飲んで「おいしい」と褒めると、視聴者はCMのような商業的な”匂い”を嗅ぎつけ、興ざめしてしまう。その反面、YouTuberが自由奔放に新製品を扱うだけでは、薄い内容となって、企業側の満足度が下がりがちだ。その隙間を企画力で埋めることをギルドは目指しており、「テレビ業界の電通、博報堂のような存在になりたい」と高橋代表は意気込む。
「マネジメントと企業への営業だけでは、事務所を辞めたくなるYouTuberの気持ちもわかる」
こう語るのは、YouTuber事務所VAZの森泰輝社長。2015年の設立から、多くのYouTuberやインフルエンサーと新たなビジネスを立ち上げて成長してきたが、多くの離脱も経験した。今、目指しているのは、「ネットのハイブリッドタレントを作ること」(森社長)。
VAZに所属するねおは、ティーン雑誌『ポップティーン』の専属モデルを務めるなど、若者から絶大な人気を誇る。チャンネル登録81万人の中堅YouTuberだが、TikTokのフォロワー数190万人などを含めると、SNSの総フォロワー数は430万人を超えている。テレビ番組やAbemaTVでも幅広く活躍する18歳だ。
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