新型肺炎が「世界の自動車産業」に及ぼすリスク 多く拠点を構える部品メーカーに与える懸念
中国湖北省・武漢に端を発する新型肺炎の影響が広がるなか、現地の日系自動車工場の再稼働期が2月下旬までずれ込み、広州・天津に立地する日系自動車工場の操業再開も2月17日以降に遅れるようだ。
また、中国から部品調達の寸断を背景に、日産の北九州工場、現代自動車やルノーサムソンの韓国工場、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)の欧州工場の一次生産停止も報道された。新型肺炎の影響は中国国内にとどまらず、世界の自動車生産に波及し始めた。
中国自動車市場の拡大とともに、日米欧大手自動車部品メーカーが中国生産を強化してきた結果、中国はグローバルサプライチェーンの一翼を担っており、中国からの部品供給が滞ると、日本国内生産にも代替生産地の模索等の影響が生じるだろう。
今や中国は「世界の自動車部品工場」
2020年2月12日時点、中国本土の患者が4万4000人、死亡者1100人超、感染者の濃厚接触者40万人(健康観察中)と国家衛生健康委員会が発表した。多くの都市では2月10日から企業の事業再開が許可されたものの、事業再開後の安全確保への不安、従業員の感染リスクへの恐れから、企業の生産活動が大幅に縮小せざるをえないだろう。
都市間の交通規制によりワーカー不足と物流分断に頭を悩ませるメーカーは少なからず、操業再開しても低い稼働率がしばらく続く見通しだ。新型肺炎による自動車メーカーの操業再開の遅れが、中国の自動車生産に影響を与える一方、部品生産の一時期中止やサプライチェーンの寸断として、日本を含む世界の自動車産業にも波及することが予想される。
中国の新車市場の拡大に伴い、自動車部品の生産は急速に増加している。中国は海外市場にも自動車部品の供給を図り、「世界の自動車部品工場」の地位を確実なものにしつつある。現在、外資系部品メーカーは中国で多拠点を設け、現地生産や研究開発を行っている。
また、高品質部品を求める地場自動車メーカーの増加に伴い、系列を超える部品供給の強化などの動きもみられている。とくに大手欧米系部品メーカーが中国拠点のグローバル生産・輸出拠点化をしようとする動きが強まっている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら