新手のマルチ商法に60万円支払った学生の末路 SNS世代だからこそ陥る「キラキラ投稿の罠」
人を紹介すれば自分の収入になると信じて、友達に声をかけたり、SNSの友達を勧誘する学生もいる。その時点で被害者から加害者になってしまうが、払った金額を取り戻したい一心でのめり込む学生もいるようだ。
こうした被害に特徴的なのが、大金を支払っていながら、契約書や領収書などはもらっていないという点。大人世代から見れば信じられない話だが、「SNSでつながっているからいつでも連絡できるし、信じられる」と考えてしまうのがSNS世代の特徴である。
マルチ商法の担い手にとって、だましやすく、お金も取りやすい大学生たちはいいカモだ。20歳を超えていれば、親の同意なくクレジットカード作成や借金なども可能になる。しかも社会経験が乏しいため、マルチ商法に対する警戒心も薄い。そのうえ、親元を離れて一人暮らしをしており、周囲に相談相手がいないことも多い。
このような勧誘は、当初はオープンなTwitterなどのSNSやマッチングアプリなどを使って行われることが多いようである。というのも、こうしたサービスを活用するのは若者が中心かつ、従来のマルチ商法と比べて勧誘するコストや手間も少なく済むからだ。
直接会って勧誘に成功してからは、LINEなどのクローズドなSNSに移っていくパターンが多いようだ。LINEでのグループがサクラで固められていれば、エコーチェンバー現象(価値観が似ている同士で交流・共感し合うことで特定の考えが増幅される現象)が働いて、客観的な意見に触れる機会はさらに減ってしまうだろう。
キラキラ投稿にだまされる大学生たち
大学生などの若者ばかりが被害に遭う背景には、SNSネイティブならではの心理が悪用されている面もある。
「私を勧誘してきた男性のTwitterは、仲間と一緒で楽しそうな写真ばかり。いつも海外に行っているし、お金持ちそうな投稿ばかりだった。『いいね』もたくさんついていた」とA子さんは言う。
勧誘する側は、実名・顔出しでのキラキラ投稿をしている例が目立つ。SNSでは、顔や名前を出して発信する人は信頼を得やすい傾向にある。
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