ゴーンが国内最後のインタビューで語ったこと 逮捕容疑、業績悪化の責任にどう答えたか
――ゴーン氏のレバノンへの出国をどう思いましたか。
「私は、レバノンにいる」というニュースを最初に聞いた時には、何が起こっているのかわからなかった。その4日前までゴーン氏のインタビューをしていたので。ゴーン氏も、私の本が出ることで日本での状況が少しでも良くなると期待して、インタビューに応じてくれているものと思っていた。
したがって、国外に逃亡して日本での裁判から逃げたと聞いたときには、正直裏切られた思いだった。しかし、これまで、ゴーン氏の事件に関して一貫して検察を批判する論陣を張ってきた私としては、それまで述べてきたことへの責任があると思った。ゴーン氏が逃亡したとしても、私は逃げることはできない。自分の意見は言い続けようと思った。
なぜ日本での裁判を免れ、逃亡したのか、自分なりに考えて意見を述べていくしかない。その後、ゴーン氏の弁護人の高野隆弁護士が、ブログで「彼を一方的に責めることはできない。裏切ったのはゴーン氏ではない」と書いているのを見て、私もその通りだと思った。
出国直前、変わった様子に気づかなかった
――これまでインタビューを明らかにしなかったのはなぜですか。
インタビューも出版計画も秘密にして進めていた。本が形になってから公表する予定だったので、ゴーン氏の出国後、インタビューをしていたことと、その内容をどう取り扱うのか、ゴーン氏に意向確認をする必要があった。
幸い、知人を通じてレバノンのゴーン氏に連絡がつき、1月13日にテレビ電話で話をすることができた。インタビューの内容は自由に使っていいと言ってくれたので、内容を明らかにしていくことにした。
――国内での最後のインタビューは12月27日でした。ゴーン氏の様子に異変はありませんでしたか。
その時は、特に変わった様子には気づかなかった。しかし、インタビューの後半は、それまでより口数が少なかった。質問事項が違うからかと思っていたが、今になって思うと、「心ここにあらず」だったのかもしれない。
――日本では、ゴーン氏が逃げたのは「後ろ暗い点があるからだ」との受け止めが多いと思います。
保釈条件に反して国外逃亡したことは法に反する行為だ。それ自体が非難されるのは致し方ないと思う。
とはいえ、彼がリスクを冒してまで国外に逃亡しようとしたのはなぜなのか。検察が無理筋の事件で逮捕・起訴したこと、日本の刑事司法手続に重大な問題があったことも事実だ。少なくとも、金融商品取引法違反(有価証券報告書虚偽記載罪)で、検察が非開示を問題としているのは未払い報酬で、退任後に日産から支払われる予定があったにすぎない。それを確定した報酬として既払い報酬と合算して有価証券報告書に記載すべしという検察の主張は明らかに無理筋だ。「投資判断に重要な事項の虚偽記載」とは到底言えない。
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