日本人が「安い給料」に今も甘んじている大問題 私たちの仕事は付加価値を生み出しているか

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つまり、何かの仕事のプロになるしかない。市場で評価される普遍的なスキルを身に付けるしかない。そうすれば、ヘッドハンターからも声がかかる。そうなるためには、付加価値を生んでいるかをつねに意識して仕事を進めていくように気持ちを変えなければダメだ。これこそ、本当の「働き方改革」である。

会社がこうした変革を行うことはないから、自分で変えるしかない。まずは、自分で自分のいるポジションのジョブ・ディスクリプションを作るところから始める。ジョブ・ディスクリプションとは、そのポジションの仕事をやるために、どんなスキル・経験が必要かを明らかにしたものだ。

あるジョブ、あるポジションにそのスキルを持ったプロを採用する欧米の企業では、当たり前のツールである。これが出来上がったら、自分に足りないところを学習して補おう。

そして、会社全体の戦略目標を(多くの会社では明確なものはないから、自分で設定するしかない)自分のいる部門に落とし込み、それをさらにブレークダウンして、自分のOBJECTIVEを明確に設定しよう。

今までの会社のボンヤリしたManagement by Objective(MBO)目標ではなく、本当のMBO目標を自分で設定してみよう。そして、それを上司に見せて合意を取り、その実現に向けて、プロとしての意識を高く持って取り組む。もちろん、結果を出さなければダメだ。

こうして、仕事の取組み姿勢を変え、結果を出し始めれば、上司もそれを認めざるをえなくなる。取引先や外部の人からも「あの人は仕事のプロだ。高い目的意識を持っている」と認められるようになる。これにより、自分の市場価値も高まっていく。

こうなればしめたもの。上司に対して、自分の給与を上げてくれと自信を持って言えるようになる。上司も、結果を出してくれる部下がいなくなると困るから、真剣に給与引き上げの要求に対応するはずだ。しかし、それでも上司が聞き入れず、「同期の中でお前の評価は高い。でも、給与はウチの給与体系にしばられているから上げられない」と言うなら、そのときは転職を考えるしかない。

社内で認められないなら転職も選択肢

自分に市場価値があるのだから、上司の機嫌を損ねることを心配する必要もない。今の会社で自分の価値を正当に評価してくれないと思うなら、思い切って自分の価値を正当に評価してくれるところに羽ばたいていこう。                     

自分の仕事の価値を高めるために、自分の仕事のやり方を変える。そして、会社と社会に対する付加価値を生み出し、正々堂々と給与の引き上げを要求する。これが、日本人社員の給与を上げる道筋である。

植田 統 国際経営コンサルタント、弁護士、名古屋商科大学経営大学院(MBA)教授

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うえだ おさむ / Osamu Ueda

1957年東京都生まれ。東京大学法学部を卒後、東京銀行(現・三菱UFJ銀行)入行。ダートマス大学エイモスタックスクールにてMBA取得。その後、外資系コンサルティング会社ブーズ・アレン・アンド・ハミルトン(現PWCストラテジー)を経て、外資系データベース会社レクシスネクシス・ジャパン代表取締役社長。そのかたわら大学ロースクール夜間コースに通い司法試験合格。外資系企業再生コンサルティング会社アリックスパートナーズでJAL、ライブドアの再生に携わる。2010年弁護士開業。14年に独立し、青山東京法律事務所を開設。 近著は『2040年 「仕事とキャリア」年表』(三笠書房)。

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