米景気後退を食い止めるシナリオはあるのか? トランプ政権は景気後退懸念を払拭できるか
アメリカ株式市場は11月に入ってから、史上最高値の更新を繰り返す快進撃を続けている。1日に発表された10月の雇用統計で、非農業雇用者数が予想を上回る伸びとなったことで景気の先行きに対する不透明感が後退、投機的な買いを呼び込むようになってきたのは間違いないところだろう。
余剰資金の株式市場への流入が止まらない
米中貿易交渉に関しては、交渉が順調に進んでいないという観測報道が目立つようになってきたが、それでも買いの勢いは衰えることはない。日中にいったん大きく売りに押される場面があっても押し目ではしっかりと買いが集まり、最終的には高値を更新して場が引けるといったパターンが見られるようになっている。
そうした中で、15日にはラリー・クドロー米国家経済会議(NEC)委員長が、合意は近いと発言したことを受け、株価が一気に押し上げられる展開となった。こうした発言は過去に何度も見られたし、とくに具体的な内容に触れたわけでもなかったにもかかわらず市場が大きく反応したのは、それだけ地合いが強気に傾いているということだ。
10月29~30日に開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)で3会合連続の利下げが決定され、資金が市場にあふれている中、景気減速懸念が後退したことで米債券市場に資金が向かわなくなり、長期金利が上昇基調を強めてきたこともあり、余剰資金の株式市場への流入が止まらなくなっているというのが実際のところではないか。
この先も少々の悪材料には目をつぶり、少しでもプラスの材料が出てくれば一気に買いが集まってくるというパターンが、しばらく続くことになりそうだ。
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