世界が熱狂する「ローマ法王」爆発的人気の理由 初来日するフランシスコ法王の実像

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ちなみに「フランシスコ」という名前は本名ではない。アルゼンチン出身で、本名はホルヘ・マリオ・ベルゴリオという。法王になったとき、12世紀のイタリアに生きた「清貧」を実践していたアッシジの聖フランチェスコから取ったものである。フランシスコ法王が即位してから、カトリック信者はバチカンを訪れた後、そのままの足でアッシジまで巡礼する人が増え、毎日4万人以上の信者や観光客が、世界各地から訪れているという。

フランシスコ法王は「エコ」を自ら実践する「庶民派法王」といわれていて、ツイッターを使いながら世界中の人々にメッセージを伝えている。法王になった当初は、誰にも気づかれないよう、普通の司祭服でローマの街へ出てホームレスの人などにパンを配ったり、施しをするために外出していたという。 

庶民派で革新的な法王は、日本で何を語るのか?

教会の役割として「社会的弱者の救済」と「環境保護」を強調し、自分の住居を公開したり、車も大衆車を使用。また、反社会勢力に対する運動も行っており、イタリアのマフィアに対しては破門を宣告するなど、つねに弱者目線からのメッセージを発信しているため、宗派を問わず、世界中で人気がある法王なのだ。

サンピエトロ寺院に詰めかける人々(写真:Toshie Kurihara)

フランシスコ法王は毎週日曜日、バチカンにあるサン・ピエトロ寺院でミサを行っている。世界中から多くの信者が集まり、最大5万人が参列することができる寺院前の広場には、4台の大型モニターが設置され、その様子を見ることができるようになっているが、サン・ピエトロ広場はまるで野外コンサートのような光景が広がっているのだ。

一方で頭を抱えている問題もある。その中でも最も大きなスキャンダルは、日本も含め、全世界で表面化した聖職者による性的虐待問題だ。フランシスコ法王は被害者に面会、謝罪をし、また加害聖職者に対してもこれまでにない強い姿勢を打ち出している。

また、バチカン改革として、これまで認めることはなかった同性愛者に対してある一定の理解を示したり、既婚者であっても司祭となることを認める発言をしたり、新たなる時代に見合ったカトリックを推進しようとしている。しかし、保守派の抵抗も大きく、これまで長期間にわたって積み重ねてきた歴史もあるため、そう簡単に改革が進んでいかないのが現状だ。 

トランプ大統領の政策に対してもはっきりと意見を述べている。メキシコとの国境に壁を建設することに対しては、「橋の代わりに壁を作ることを考える人は信者ではありません。それは福音ではありません」と語った。

また難民受け入れを停止しようとしたときには「主なる神が聖書でどれだけ頻繁に、移民や外国人を受け入れるよう私たちに求めていることか。私たちも外国人なのだと、どれほど思い出させてくださることか」とツイッターに書き、難民を受け入れるようにと述べているのだ。

先日、トランプ大統領が日本に対して「思いやり予算」といわれている在日米軍駐留経費の年間負担を現在の約4倍に増やすように要求していることが明らかになった。またアメリカからは、莫大な予算を費やして戦闘機を購入しているが、庶民派であるフラシスコ法王は、日本滞在中にどのようなメッセージを送るか、その言葉に注目が集まっている。

次回は38年ぶりとなる東京ドームでのミサの様子を報告する。

草薙 厚子 ジャーナリスト・ノンフィクション作家

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くさなぎ あつこ / Atsuko Kusanagi

元法務省東京少年鑑別所法務教官。日本発達障害支援システム学会員。地方局アナウンサーを経て、通信社ブルームバーグL.P.に入社。テレビ部門でアンカー、ファイナンシャル・ニュース・デスクを務める。その後、フリーランスとして独立。現在は、社会問題、事件、ライフスタイル、介護問題、医療等の幅広いジャンルの記事を執筆。そのほか、講演活動やテレビ番組のコメンテーターとしても幅広く活躍中。著書に『少年A 矯正2500日全記録』『子どもが壊れる家』(ともに文藝春秋)、『本当は怖い不妊治療』(SB新書)などがある。

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