いつまで人間は「今の仕事」を任せてもらえるか 8割超のホワイトカラーの仕事はどうなる

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なお横浜市が行ったRPAの実験について、横浜市やNTTらが発表した『RPAの有効性検証に関する共同実験報告書』によると、場合によっては市役所の業務の90%以上、平均でも85%近くの作業が削減されたといいます。また、徳島県庁でも同様の実験を行った結果、会計事務作業について軒並み90%以上の削減効果が見込めると県庁が2019年に発表しています。

こうした結果は、これまで「オフィスで人がやるべき仕事だ」と思われていたことが、実は大方そうではなかった、ということが明らかになり始めた、と言えるレベルかもしれません。

人間に任せてもらえる仕事は減る

なおRPAにはまだまだ課題があります。効果に持続性があるのか、というのが最も大きなものでしょう。

今のレベルは、エクセルなどのツールを人ではなくソフトウェアが操作する、といった段階ですので、環境や操作するツールの仕様が変わったらどうするのか、といった疑問が呈されています。

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本来は、もっと根本的なレベルでの自動化を行わなければならず、例えば業務をクラウド化し、クラウドシステムのAPI(Application Programming Interface の略。アプリが用いるプログラミング上のインターフェースのこと)を通して、手元のシステムが自動的に動くとか、そういった段階まで達しなければ持続性のない小手先の効率化に終わってしまう、といった指摘もあります。

ただ、これらが議論のとおりだったとしても、現状ですら「8割を超えるホワイトカラーの仕事が自動化されうる」というショッキングな現実に変わりはなく、それはまさにこれから迎えるだろう、激変の時代の兆候と言えると思います。

それでは、ホワイトカラー以外の労働はどうなのでしょうか。もちろん、ロボティクスによる自動化の流れそのものが、産業用ロボットから始まったわけで、すでに肉体を使う労働はどんどん置き換わっています。

加えて、今までのような工場の中で安全のために区画を分け、そこでロボットが限られた作業をするという状況から、むしろ人間と同じ作業環境の中で人とロボットが一緒に作業する方向に発展しつつあり、それは人の作業をアシストする一方で、人手を減らすことにつながります。

そしてこれらが指し示す先に、働こうにもそもそも人間に任せてもらえる仕事がない、という未体験の世界が待ち受けているのです。

斉藤 賢爾 早稲田大学大学院経営管理研究科教授

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さいとう けんじ / Kenji Saito

1964年、京都市生まれ。大学卒業後、日立ソフト(現・日立ソリューションズ)入社。1993年、アメリカ・コーネル大学大学院にて学修士号(コンピュータサイエンス)取得。外資系ソフトウェア企業などに勤務した後、2000年より慶應義塾大学環境情報学部村井純研究室に在籍。2006年、同大学院にてデジタル通貨の研究で博士号(政策・メディア)取得。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任講師などを経て現職。長期にわたりP2Pおよびデジタル通貨の研究に従事。著書に『インターネットで変わる「お金」』(幻冬舎ルネッサンス新書)、『これでわかったビットコイン』(太郎次郎社エディタス)、『ブロックチェーンの衝撃』(日経BP社、共著)など。

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