「ジョーカー」製作会社がハマった儲けの大誤算 投資の「リスク分散」がもたらすしっぺ返し
同じような例に、『タイタニック』がある。全世界で21億ドルという驚異的な成績を打ち立て、アカデミー賞も受賞したジェームズ・キャメロンのこの映画は、言うまでもなく歴史に残る大ヒット作だ。しかし、コストが膨らみ続け、現場でのトラブルも絶えなかった今作は、ふたを開けるまでは大損すると予想されていたのである。
そんな中、製作配給のフォックスは、パラマウントをパートナーに募り、6500万ドルの出資と引き換えに、北米配給権を渡すことにした。最終的に製作費は当初の予定の2倍である2億ドルに達したため、フォックスはおよそ6割を負担したわけだ。北米売り上げが6億6000万ドル、北米外が14億ドルという比率は、その意味では妥当だといえる。
しかし、公開まではマーケティングなどさまざまなことについてフォックスとパラマウントの間では衝突が絶えなかったそうで、フォックスにしてみたら、「自分たちだけで続けていれば」という悔しさがあったに違いない。
しかし、それから22年経つ今、フォックスとパラマウントは、別の映画でリスク分散のありがたさをかみしめている。先週末日本でも公開された『ターミネーター/ニュー・フェイト』は、1億ドルの赤字が見込まれているのだ。
大苦戦している『ターミネーター』最新作
1991年の『ターミネーター2』以来初めて、生みの親であるキャメロンがストーリーを手がけ(『アバター』続編で多忙なため、監督はしていない)、初代主人公であるサラ・コナーを演じたリンダ・ハミルトンも戻ってくることで話題を呼んだ今作は、シリーズが進むにつれて失速していたこのブランドに新たな息吹を与えるものとして、強い期待が寄せられていた。
1億8500万ドルの製作予算は、フォックスとパラマウントと、『ターミネーター」の権利を持つプロダクション会社スカイダンス・メディアが3割ずつ、残り1割を中国のテンセント・ピクチャーズが出す形で賄われている。
しかし、ふたを開けてみると、北米のオープニング成績は予測を下回る2900万ドルというガッカリな結果。ひとつ前の『ターミネーター:新起動/ジェニシス』を泥沼から救ってあげた中国でも、今回はまったくダメだった。こんな場合は、一緒に傷をなめ合う仲間がいてよかったということになる。
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