義父は言った。
「息子と今後について、ここ数週間話をしました。息子は暴力を振るう女性とは夫婦としてやっていけないと言っています。昌吉は、離婚を希望していますので、サインをお願いします」
まずは離婚協議書が出された。そこには“慰謝料は発生しない”こと、“婚姻日数がわずかなので財産分与は認められない”ことなどが記されていて、最後にサインをする欄があった。
“やり直したい”と思っていた真奈美だったが、離婚届を父母に託し、表には出てこない昌吉に、心底幻滅をした。
その場で、離婚協議書と離婚届にサインをし、入籍からわずか1カ月半で離婚が成立した。
物が捨てられない人の心理
“相手の部屋に行ってみたら物であふれ返っていた”というのは、ほかの会員たちや仲人たちからもよく聞く話だ。
ある女性会員(49歳)は、「彼がなかなか家に呼んでくれない。婚約してやっと家の中に入れてくれたと思ったら、きれいだったのはリビングだけで、1部屋にはゴミ屋敷のように物が詰まっていました」と言っていたことがある。
また、ある仲人からの話なのだが、彼女の会員男性(53歳)がベトナムに行って見合いをし、国際結婚を決めた。女性が来日するにあたって、仲人は男性の家の様子が気になり、見に行った。案の定、物であふれ返っており、「こんなゴミ部屋にお嫁さんが来たら、びっくりしてお国に帰っちゃうわよ」とその場で廃棄業者を手配し、女性が来日する前に、トラック2台分の荷物を処分した。
物が捨てられない人の特徴は、性格がやさしい反面、自分に自信のない人が多い。物を捨てるという決断ができないのだ。
いつかは使うかもしれない。使うときになって「捨てなければよかった」と思うのは嫌だという思いがある。しかしながら、物があふれ返っているので、それがどこにあるのかわからず、また新しい物を買ってしまう。そして物がまた増えていく。
執着心も強い。1つのことにこだわるとそこから離れられない。経験や体験を思い出として、いつまでも残しておきたいという気持ちが強い。
中には、物を捨てることを“恐怖”と考えている人もいる。物をためこむ自分自身の行動に罪悪感や嫌悪感を覚えつつも、自分の意思ではやめることができない。物を集めることで不安から逃げているので、他人が勝手に処分すると恐怖や不安が増してしまう。
ここまで一連の話を私は真奈美にした。すると、彼女が言った。
「入籍しなければよかった。たったの1カ月半でも、バツイチはバツイチ。婚約破棄なら心の傷だけで済んだけど、戸籍にも傷がついてしまった」
そんな真奈美に、私は言った。
「今の時代、バツイチは婚活するのに何の障害にもなりませんよ。バツイチでもお子さんがいると再婚しにくくなるけれど。人生に無駄な経験はないですよ。失敗から学ぶこともたくさんあるでしょう?」
真奈美は、大きくうなずいた。
「まだ傷は癒えていないんですが、39歳という年齢を考えたら、今動かないと後悔する。まだ子どもを諦めたわけではないので、婚活、また頑張ります」
それでも結婚したい! そう言う前向きな婚活者の背中を、私はこれからも押していく。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら