確かにそのとおりだが、消費期限は大丈夫なのかと、いらない心配をしてしまったという。
その後は、結婚式をやらずに写真館で写真だけ撮り、吉日に入籍は早々に済ませた。そして、その3週間後に、真奈美が昌吉の家に引っ越すことになっていた。
しかし、その日が決別の日となってしまった。
引っ越ししたその日に大げんか
「私の荷物を入れる棚のスペースを作っておいてね」と言ってあったのに、家の中は、何一つ片付けられていなかったんです。引っ越し業者の人もあまりにも物があるので驚いていました」
真奈美が運んできた荷物の置き場がない。引っ越し業者は、「とりあえず運び入れますね」と言い、リビングの真ん中に、段ボール箱を積み上げた。
真奈美は、積み上げられた段ボール箱を見ているうちに、“この人は私を受け入れる気持ちがないのではないか”と思ってしまった。悲しさと同時に、怒りがこみ上げてきた。そして、ヒステリックに怒鳴り散らしてしまった。
「あれほど“私の荷物を入れるスペースを作っておいて”って言ったじゃない。この部屋を見て、私よりも自分の物が大事なんだというのがよーくわかったわっ」
すると売り言葉に買い言葉で、昌吉も怒鳴り返してきた。
「ここは、俺が買った家だ! 俺が大事にしている物なんだよ。置き場所は自分で見つけろよ。捨てるものなんて、何1つないっ!!」
その言葉に真奈美がキレて、昌吉につかみかかった。
「どーして私の気持ちをわかってくれないの!」
昌吉につかみかかり肩を揺らすと、その拍子に昌吉は尻餅をついてしまった。
「何するんだよ。暴力を振るったな」
そして、鬼の形相で言った。
「もう一緒に暮らせない。今日運び入れた荷物は、お前の実家に送り返す。さっさと出ていけ! 離婚だ!!」
真奈美は泣きながら家を飛び出し、その日は実家に戻った。
数日間は憤っていたが、冷静になってみると、新生活を始める喜びと期待が裏切られたことで、ヒステリックになってしまった自分にも反省すべき点はある。せっかく結婚したのだから、こちらから謝ってまたうまくやっていこう。あの家は私が少しずつ片付けていけばいいという気持ちになっていた。
こちらから折れようとLINEを入れたが、既読にはなるものの返信がこない。そして2週間が経った頃、「あなたとは、離婚します」という返信が来た。
それからまもなくしたある日、昌吉の両親が、真奈美の実家に離婚届を持ってやってきた。
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