ただ、水戸岡氏の起用には大きな問題点があった。区の事業は公平を期すため、一般競争入札で決める必要がある。区長が水戸岡氏に頼みたいという理由だけで、水戸岡氏に発注するわけにはいかないのだ。
スタッフが頭を抱えていたとき、中央官庁から出向中だった区のスタッフがアドバイスをくれた。「水戸岡さんにしかできない条件にすればよい」。水戸岡氏は車両だけでなく停留所からスタッフの制服、グッズまで、あらゆるデザインをこなせる。これだけ広範囲にデザインをできるのは、確かに水戸岡氏くらいだろう。
晴れてイケバスのデザイナーに起用された水戸岡氏は、高野区長にどんな車両を欲しているのか、「取材」を始めた。いろいろな話をしているうちに、「高野区長は“赤”を欲しているんだな」とわかってきた。「赤は昔から祭りに使われている特別な色」と水戸岡氏は言う。人々に元気を与える色ともいえる。
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