記者は見た!危ない会社を見分ける極秘リスト 帝国データバンクだけが知る“真実"

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「危ない会社を見分けるチェックリスト」の「社長・役員」の項目にある、「ワンマン経営である」や「倒産歴がある」「内紛がある」などは、「確かに、危なそうだ」と感じるだろう。

しかし、一見すれば「よいこと」のように思われる「人がよすぎる」については、意外に思われた方も多いのではなかろうか。

潰れる会社 社長と社員それぞれのリアル

だが経営者は、会社の業績が芳しくないときには不採算部署の整理や社員のリストラの必要性に迫られるものである。そうしたとき、人情味に厚いことが災いして経営改革への着手が遅れ、倒産に至ることもあるのだ。

また、「その他」の項目に見られる、「社名変更が頻繁にある」は、会社関係者でなくとも察知しやすいポイントだ。

これは経営方針や事業内容が一定に定まっていない表れであり、イメージ先行型の経営に走り、会社の内情と外に掲げる看板が違う危険性が高い、ということを示すリトマス試験紙となるためだ。

企業を取り巻く状況は、刻々と変化していく。そうした中で、環境変化へその時々で適応していくのは経営の必須要件。「企業イメージ」も、もちろん重要である。しかし過剰に「イメージ先行」に走り、ふたを開けると「看板に偽りあり」と判断されればどうなるだろうか。

企業にとって周囲からの「信用」は最も重要なものだ。それを失うことで、企業の「死」へとつながるケースも存在するのだ。

会社経営陣から現場で働く社員に目を移してみよう。

「従業員の社長や幹部に対する悪口が増えている」「中堅社員の酒を飲む機会が増えている」などは、「会社で働いていたら、こういうことは普通にあるだろう」と感じる方は多いかもしれない。

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注意すべきは、「その現象が起こっている背景は何か」だ。前段として社員の士気が下がっていて、かつてはこうした兆候がなかったにもかかわらず、突如としてこうした兆候が表れている、といった場合は注意が必要だ。

また「その他」の欄にある「同業者や近隣での噂に不審なものがある」というのも、注意すべきポイントである。

会社の経営状態が芳しくない、といったような「社員にとってよくない情報」は、関係者ほど知らされず、大企業の場合は、「自分勤め先の倒産を、たまたま見ていたテレビのニュースを通じて知った」ということもままある。不思議なもので「会社のよからぬ噂」は、「取引先」「競合他社」の関係者に情報が早く届くことがあるのだ。

帝国データバンク情報部
ていこくでーたばんくじょうほうぶ / Teikoku Databank Johobu

1900年創業の民間信用調査会社。国内最大級の企業情報データベースを保有。帝国データバンク情報部は、中小企業の倒産が相次いだ1964年、大蔵省銀行局からの倒産情報提供に応じるかたちで創設。情報誌『帝国ニュース』の発行、「全国企業倒産集計」などを発表している。
著書に『なぜ倒産』『あの会社はこうして潰れた』(ともに日経BP)、『御社の寿命』(中公新書ラクレ)などがある。

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