マツダ、販売低迷でも「値引き」に走らない事情

アメリカや中国で苦戦、2期連続の減益見通し

マツダが今春に投入した「MAZDA3」(撮影:大澤誠)

MAZDA3だけ見ても各地域の反応はさまざまだが、車種の数が限られている以上、どの地域でも当たり外れは極力避けたいところ。計画通りの台数を販売していく精緻なマーケティングが欠かせない。モデルあたり一定の生産台数を確保できないと、部品調達コストの上昇や工場稼働率の低下を招くことになる。 実際、メキシコ工場はアメリカ向けMAZDA3の伸び悩みで、2019年1~8月の稼働率は30%台にまで落ちこみ固定費負担が重くのしかかった。

他方、アメリカ販売テコ入れの起爆剤は新型のコンパクトSUV「CX-30」。年内にも投入される見通しだ。新車の全体需要が横ばいのアメリカにあってもSUVの販売は好調で、コンパクトSUVにも一定の需要があるとマツダは見る。初めて車を買う若年層を含め、「マツダブランドへの入口」の役割も期待する。

藤原副社長は「アメリカはCX-30を中心に販売を組み立てていきたい」とまで話す。CX-30でマツダユーザーになってもらい、より車体が大きいCX-5やCX-9へのステップアップにつなげていく。2021年にはアラバマ州にトヨタ自動車との合弁で新工場も完成し、マツダの生産能力は15万台拡大する。新型クロスオーバーの生産も始まる予定だ。

マツダというブランドで顧客に選ばれ、ユーザーの家族構成や車の使用用途に応じて車種をセレクトしてもらう。これがマツダの目指すところだ。これはアメリカに限ったことではなく、日本やヨーロッパなど他地域でも共通している。日本向けの車種名「デミオ」「アクセラ」「アテンザ」を海外車種と同様の「MAZDA2」「MAZDA3」「MAZDA6」に統一したのもマツダブランドを消費者に訴求するためだ。

販売台数の追求から距離を置く

マツダは決算と同時に2020年3月期~2025年3月期までの6年間の新しい中期経営計画を発表した。最終年度の2025年3月期には2020年3月期より約25万台多い世界販売180万台を目指す。1年半前の時点では2022年3月期に180万台の販売目標を掲げていたが、達成時期を3年後ろ倒しにした。

「販売現場にプレッシャーをかけない」(丸本明社長)というのが理由で、販売台数の追求からは距離を置く。中計期間の前半3年間は本格的収益成長に向けた足場固めの時期と位置づける。マツダのある中堅社員は「最近は経営陣から社員に対して“稼ぐ力をつけよう” というメッセージが頻繁に出るようになった」と話す。

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