高齢化が進む横須賀市で「無縁遺骨」が急増

スマホの普及で「家族に連絡さえできない」

大阪市は約10%だが、政令指定都市では平均約3%、一般市や中核市は平均約1%の遺骨は引き取り手がないと言われており、年々増え続けている。

「横須賀市には、1963年度から引き取り手のない遺骨を記録する台帳が残っていました。その台帳を調べたところ、身元不明者は1963年度から水準はほぼ変わりませんが、住民登録のある身元判明者がどんどん増えています」(北見さん)

身元が判明しているにもかかわらず引き取り手のない遺骨は、1963年度から1994年度までは0〜2件程度でほぼ横ばいだったにもかかわらず、1995年度で約5件。2002年度あたりから10件を超え、2005年度には約20件だったが、2014年度には約55件にまで増えているのだ。

携帯・スマホ社会が危険

なぜ身元が判明しているにもかかわらず、引き取り手のない遺骨が増え続けているのか。

「私たち市の職員は、一人暮らしの人が倒れたとの連絡を受けた場合、まず戸籍をとり、ご親族のお名前や住所を調べます。昔なら、104に電話すれば電話番号がわかりましたが、今はわからないことが多い。なぜなら、固定電話を待たない人が増えているからです」(北見さん)

横須賀市は昨年、53件の遺骨に引き取り手がなかった。そのうち13件は「あなたの親族の○○さんが亡くなりました。市役所の××までご連絡ください」という内容の「お悔やみ」という手紙を市役所から送ったが、いまだに返信はないという。

「今や、高齢者もスマホを持っている時代です。しかし、タッチ1つで電話がかけられるため、自分の電話番号を暗記している人はほとんどいない。ましてや、家族の電話番号まで覚えているわけがありません」(北見さん)

携帯やスマホはロックがかかるので、解除するにはパスワードが必要だ。ただ、iPhoneなら「メディカルID」、Androidなら「緊急情報」を登録しておけば、ロックを解除しなくても登録してある緊急連絡先などが確認できるが、このことを知らない人は多い。

「実は、携帯電話の普及が原因の1つだということがわかってきました。携帯電話と固定電話の契約数のグラフを見ると、携帯電話は1994年頃から普及し始め、2004年頃に固定電話を抜き去っています。このタイミングは、横須賀市の引き取り手のない遺骨の件数が急増したタイミングと一致しているのです」(北見さん)

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