しまむら、客離れに歯止めかからない深刻事情 利益は下げ止まるも、昨夏から客数減が続く

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状況打破に向け、1年半ほど前まで掲げていたPB強化の方針はいったん封印し、婦人服のアイテム数を増やすなど売り場の再構築を模索している。短納期で生産する商品も拡充。加えて、昨年8月に新設した市場調査を専門的に行う部門で、トレンドの変化や他社商品の分析を徹底し、ヒット率の高い商品企画にも注力する。

だが、これらの施策は、現状で対応できることを手当たり次第に打っているようにも見える。肝心のPBを含めた商品構成のあり方や、具体的な価格戦略についての明確な方向性は打ち出せていない。「しまむらは成長戦略が定まっていない。『そのうち、いつかまたよくなるだろう』という楽観した空気が感じられる」と、サプライヤーからは不安の声も上がる。

ECやメルカリなど競合が多様化

ここ数年の間に、衣料品のネット通販やメルカリを筆頭とした個人間での中古衣料の売買が急速に普及した。地方にいる消費者でも、多様な商品をネット上で価格比較しながら手軽に探すことができるようになった。地方を中心にドミナント出店を続け、「ファッションセンターしまむら」の店舗数は全国約1400に達するが、購買ルートの多様化により競争環境は厳しさを増すばかりだ。

しまむらの北島常好社長は「在庫のコントロールできちんと利益を残せる体制ができた」と強調したが、客数の回復には至っていない(記者撮影)

今回の上期決算説明会で、成長戦略の方向性について問われた北島社長は、「国内2000店舗というインフラを使えば、まだまだ(新規)事業は考えられる。だが、その一歩をまだ踏み出していない」などと、あいまいな回答に終始した。

安さをウリとするしまむらのビジネスモデルは、安い賃料と少ない人員での店舗運営や、自前の物流体制を活用してのローコストオペレーションをベースに成り立ってきた。それだけに、さらなるコスト削減には限界がある。

足元では粗利益率が改善したとはいえ、売上高が減る状況が続けば、再び利益が下向く懸念もある。「デフレの勝者」の復活に向けた道筋は、まだ見えていない。

真城 愛弓 東洋経済 記者

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まき あゆみ / Ayumi Maki

東京都出身。通信社を経て2016年東洋経済新報社入社。建設、不動産、アパレル・専門店などの業界取材を経験。2021年4月よりニュース記事などの編集を担当。

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