日比谷線新駅「虎ノ門ヒルズ」どんな駅になる? 臨海部への玄関口、五輪開催前に開業予定

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地下2階の工事は来年の開業後も続く。駅の両側にはビルの整備とともにコンコースと直結する駅前広場が設けられる予定で、2022年度の完成時には地下駅ながら広々とした新たな景観が広がりそうだ。

東京メトロによると、新駅の利用者数は「周辺開発などが進んでいるため精査中だが、神谷町駅(2018年度1日平均乗降人員:約10万3000人)に近い数値になると見込んでいる」という。約400m離れた銀座線の虎ノ門駅とは改札外の連絡通路で結ばれ、乗換駅となる。

交通結節機能の強化という点で注目されるのは、今年12月に竣工予定の「虎ノ門ヒルズビジネスタワー」1階に設けられるバスターミナルだ。同ターミナルには勝どきや晴海、お台場などとを結ぶ「東京BRT」(バス高速輸送システム)が乗り入れる予定で、虎ノ門は臨海部への新たな玄関口としての機能が期待されている。

本領発揮は2022年度以降?

東京都都市整備局によると、BRTは虎ノ門ヒルズ駅と同様、来年のオリンピック開催前に運行を開始する予定。ただ、当初は「プレ運行」として虎ノ門―晴海2丁目間でピーク時1時間当たり6便程度の運転にとどまり、本格運行のスタートは2022年度以降となる見込みだ。

新駅と地下通路で連絡する虎ノ門ヒルズ森タワー。下のトンネルは環状2号線だ(撮影:尾形文繁)

本格運行時には虎ノ門バスターミナルや新橋駅など都心部の拠点と、勝どきや豊洲駅、東京テレポート駅といった臨海部を結ぶ計4系統を運行し、ピーク時には1時間当たり片道20便程度を走らせる予定。晴海に開設されるオリンピック・パラリンピック選手村を転用するマンション住民らの主要な足となる予定だ。

一方、人口が増え続ける臨海部と都心を結ぶ足としては、最大でも1時間当たり片道2000人程度の輸送力のBRTは心もとないとの声もある。

オリンピック開幕前の開業を目指す虎ノ門ヒルズ駅とBRT。その本領を発揮するのは、駅が最終的な完成を迎え、BRTが本格運行に切り替わる2022年度以降になりそうだ。

小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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