舛添知事の誕生は、株高・円安材料に 市場は選挙結果を好感
[東京 9日 ロイター] -自民・公明両党が支援する舛添要一元厚生労働相が新しい都知事に就任することになった。舛添氏の当選を市場は好感し、株高・円安材料の1つにしそうだ。
市場関係者の一部からは、もし、対立候補の細川護煕候補が当選すれば、アベノミクスへの支持率低下と受け止め、日本株を売る材料にしようとの動きもあった。
第一生命経済研究所・主席エコノミストの永濱利廣氏は、「安倍政権が信任を得た」と指摘。「原発の再稼働などエネルギー政策は進めやすくなる。マーケットは好感するだろう」とみる。
仮に日本弁護士連合会前会長の宇都宮健児氏や元首相の細川護熙氏など反原発を旗印に掲げた候補が当選した場合、原発の再稼働が難しくなり、「原発の稼働停止で高止まりした電力を引き下げ、円安効果と合わせ技で企業の国内回帰を促すというアベノミクスの重要な政策要素の実現が難しくなる」(政府関係者)との懸念もあった。
また、小泉純一郎・元首相が古巣と政権に反旗を翻す形で支持した細川候補が当選すれば、反原発を主張する与党議員らを含めて、政界がざわつき、「不確実性を嫌がる海外投資家が日本株を売ってくる可能性もあった」(外資系証券)。
米金融緩和縮小と新興国経済の減速懸念で世界の金融市場が動揺するなか、政権中枢は支持率に直結する株価など市場動向にこれまで以上に神経質になっており、ひとまず大きなリスクは回避できたといえそうだ。
もっとも舛添都政が安倍政権にどこまで追い風かと言えば、大きな期待は聞こえない。みずほ証券・チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏は「安倍政権の支持率は景気回復によって支えられている。舛添候補の当選は事前に織り込まれずみ」とされる。
むしろ「安倍政権の今後の命運を握るのは成長戦略。特に戦略特区での岩盤規制への切り込みだ。東京都はその先頭に立つ立場だが、舛添候補の演説で特区への言及を聞いた覚えがない。安倍政権の経済政策との距離感は未知数」(外資系証券)との見方もある。
(ロイターニュース 竹本能文 編集:田巻一彦)
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