100店舗到達、「無印良品」が中国で快走 2017年までに国内外の店舗数逆転へ

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在庫管理による恩恵

このMDシステムを導入したことで、南北で気候差がある中国でも、店舗ごとに冬物の投入時期を変えることが可能になった。そして、販売機会のロスや過剰在庫の削減が進み、採算の改善に寄与した。

在庫管理のほかにも、従来は中国で生産された商品を日本の物流センターを経由して中国の店舗に供給するという非効率な形だったものを、11年からは現地の物流センターを経由して中国の店舗に直接供給する体制を整えた。これで物流コストが低下し、日本よりも3割ほど高かった商品価格は、ほぼそれに近い価格水準で販売できるようになっている。

 13年度は現地通貨ベースで既存店が10%以上の成長を維持し、足元でも好調さが続いている。「都市部の若者を中心に、上質な商品が求められるようになってきている」(良品計画・企画室)。14年度も引き続き年間30~40店の出店ペースを維持し、新たに旗艦店も出店する計画だ。

中国モデルを世界へ展開

17年までに国内外の店舗数逆転を狙っている

波に乗る中国と違い、収益柱である国内事業は4月の消費増税後も約75%と大半の商品の価格を据え置く方針を表明しており、実質的な値下げによって14年度は粗利の悪化が懸念される。海外の中でも欧州地域の収益貢献や本格展開にはまだ時間がかかりそうだ。

来期以降の成長のカギを握るのは、やはり好調が続くアジア地域の拡大や、グローバルでの物流費、商品調達コストの低減だ。

 その取り組みはすでに進んでいる。良品計画では12~13年にかけて、中国で効果の大きかったグローバルMDシステムをシンガポールや中東、韓国、欧米などでも導入した。

物流コストのさらなる削減を進めるため、13年7月に上海と深圳でグローバル物流センターを稼働させた。衣料品や生活雑貨など、異なる仕入先の商品を世界各国に一括供給することで、発注から納品までの時間短縮や在庫の適正化にも乗り出す。さらに14年中にはベトナムにも同様の物流拠点を設ける。

 独特な店舗の世界観の印象が強い無印良品だが、その真髄は強固な「仕組みの構築」にある。グローバルでのITシステムや物流網の整備を背景に、海外展開のペースを加速し、17年までに国内外の店舗数(14年1月で国内387店、海外257店)の逆転を目指している。

秦 卓弥 東洋経済 記者

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はた たくや / Takuya Hata

流通、石油、総合商社などの産業担当記者を経て、2016年から『週刊東洋経済』編集部。「ザ・商社 次の一手」、「中国VS.日本 50番勝負」などの大型特集を手掛ける。19年から『会社四季報 プロ500』副編集長。21年から再び『週刊東洋経済』編集部。24年から8年振りの記者職に復帰、現在は自動車・重工業界を担当。アジア、マーケット、エネルギーに関心。

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