そごう・西武の奇策「再雇用者リストラ」のわけ 希望退職実施が「百貨店再編」の引き金に

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今回の希望退職実施は、次の動きを加速する「引き金」になる可能性もある。百貨店の動向に詳しい業界関係者は、「そごう・西武の最近の動きは、事業整理を進めているように見える。近い将来、一部店舗の譲渡や会社そのものを身売りすることも考えられる」と語る。

店舗譲渡先や身売り先としては、先にそごう・西武の2店舗を譲り渡したエイチ・ツー・オーリテイリングが候補としてあがる。確かに、好立地の西武池袋店本店やそごう千葉店を譲り受ければ、東京圏での展開強化へ向けて、これ以上の足がかりはないように見える。

ただ、エイチ・ツー・オーリテイリングは目下、関西地域を中心に主力小売り業態の集中出店を進める「関西ドミナント戦略」を掲げている。エイチ・ツー・オーリテイリングの幹部は、「ここ2年ほどは、お経のように『ドミナント戦略』の重要性を社内外で唱えている。不得意な関東圏に主力業態で出ていくことは、この戦略から大きく外れることになる」と否定する。

身売り先候補に「ドン・キホーテ」の名も

店舗譲渡や身売り先としては、ドン・キホーテを擁するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスも名前が挙がる。同社の大原孝治社長は2019年3月の東洋経済のインタビューに対し、「(当時売却が噂された)西友よりむしろ、そごう・西武の売却話が出てきてもおかしくないだろう。西武渋谷店は非常に立地がよい」と、興味を示していた。

とはいえ、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスは、子会社化したユニーの経営立て直しを当面の課題として抱えている。ドンキとユニーのダブルネーム店舗の展開も緒に就いたばかり。9月25日の株主総会後には、大原氏が社長の座を退き、専務の吉田直樹氏が後任となる。マッキンゼー・アンド・カンパニーなどでコンサルタントとしての経験がある吉田氏が、そごう・西武についてどのような見方をしているのかは、現時点では不透明だ。

行方が混沌とするそごう・西武。セブン&アイが「持て余す」存在だけに、10月にはさらに踏み込んだ再建策が打ち出される可能性がある。

梅咲 恵司 東洋経済 記者

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うめさき けいじ / Keiji Umesaki

ゼネコン・建設業界を担当。過去に小売り、不動産、精密業界などを担当。『週刊東洋経済』臨時増刊号「名古屋臨増2017年版」編集長。著書に『百貨店・デパート興亡史』(イースト・プレス)。

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