そごう・西武の奇策「再雇用者リストラ」のわけ 希望退職実施が「百貨店再編」の引き金に

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今回の希望退職実施について、会社側は「組織全体の若返りを図ることが狙い。また、社会が高齢化していく中で、60歳を超える社員の転職支援という意味もある。ワークライフバランスを見直すきっかけになれば」(広報担当者)と説明する。

しかし、この説明は鵜呑みにできない。継続雇用年数の引き上げなどにより高齢者の活用を図る企業が増えている中で、今回の動きは逆行している。今回の希望退職は「余剰人員の整理」と理解するほうが自然だ。

セブン&アイは、今年10月に予定されている今上期(2019年3~8月期)決算説明会において、グループ全体の経営再建策を打ち出すと見られている。低採算に苦しむイトーヨーカ堂については、展開エリアを絞り込むなどの採算向上策を公表する見通し。同じく低採算のそごう・西武についても、何らかの経営改善策が打ち出されそうだ。

セブン&アイ入り後も収益は上向かず

歴史を振り返ると、西武百貨店が前身の武蔵野デパートとして創業したのは1940年のこと。その後、1970年代から1980年代にかけて、西武池袋本店の館内に公園・広場を模した設備や美術館を常設し、話題を集めた。西武百貨店の売上高は一時、三越を抜いて業界トップになったほどだ。

ところが、1990年代のバブル崩壊以降は、消費不振を映して業績が冴えなくなっていく。同じく、業績不振の百貨店大手そごうが民事再生法の適用を2000年に申請。この同時期に経営難に苦しんでいた両社が統合し、再建を目指すことになり、2003年に2社の持ち株会社ミレニアムリテイリンググループが発足した。

経営統合後は再建が順調に進んでいたかに見られていた。が、財務的な不安は完全には払拭されなかった。結局、2006年にセブン&アイ・ホールディングスの傘下に入り、再び立て直しを図ることになった。

セブン&アイ・ホールディングスの傘下に入ってからは、店舗撤退を加速。2016年にそごう柏店(千葉県柏市)、2018年に西武船橋店(千葉県船橋市)など大型店舗も次々に閉店した。そごう神戸店(兵庫県神戸市)と西武高槻店(大阪府高槻市)は2017年に、阪急阪神百貨店を運営するエイチ・ツー・オーリテイリングに売却した。

こういった経営スリム化を徹底しても、収益性は一向に上向かない。2018年度の営業収益に対する営業利益率は0.5%と、低利益率にあえぐ。そごう・西武は現在15店舗を展開するが、今回さらなる店舗閉鎖に踏み切ることも考えられる。店舗縮小が続けば、いっそうの人員整理も避けられないだろう。

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