スカイライナー、在来線最速支える「プロ意識」 最高時速160km、線路や信号などに総力を結集
車両について、ひととおり説明を受けたところで『チコちゃんに叱られる!』でも言及していたレールについて話を聞いてみた。説明をしてくれたのは保線課長の丸田氏である。
AE形が時速160kmを出している区間は、印旛日本医大駅から空港第2ビル駅間の18.1kmである。この区間内に複線から単線に切り替わる箇所があるのだが、そこを一切の減速なしに運転しているというから驚きだ。
その箇所には、日本に2台しかない高速対応の38番分岐器を導入したという。上越新幹線の高崎駅で長野新幹線を分岐させるものと同様の分岐器で、全長が134.79mもある巨大なものだ。
このレアな分岐器のおかげで、複線から単線に切り替わるときも乗り心地が変わらないという。ここに38番分岐器がある場所がわかっているはずの京成電鉄の社員でも、あまりに切り替えがスムーズなため、ポイントを通過したことに気づかないこともあるそうだ。「ぜひスカイライナーに乗ってみて、分岐点がわかるかどうか試してみてほしい」と自信のほどをのぞかせてくれた。
検査車両は黄色?
レールのメンテナンスの検査体制を説明してくれたのは湯川施設区長の斉藤氏だ。軌道計測車で行うメンテナンスは京成本線では年1回だが、スカイライナーが走る成田スカイアクセス線では年4回実施しているそうだ。
「バラストの代わりにコンクリートで枕木を支えた直結軌道なので、軌道の変状が発生する可能性は低いのですが、それでも高速で走っているのでレールの負担も大きく、より安全性の精度を高めるため、さまざまな検査を実施しています」という。
分岐器の溶接部や締結しているボルト等に、傷ができていないかなどを検査する分岐器細密検査やレールの摩耗検査や動揺測定等の検査を行い、未然に異常を察知し、また変化が見つかった場合には再度詳細な検査をして対策を講じるそうだ。
筆者が「軌道計測車はもしかして黄色いのですか? ドクタースカイライナー?」などと余計な質問をしてみたが、残念ながら黄色ではないそうである。夜間に走るモーターカーを使っているそうだが、通常の営業車両にも計測器を乗せて普段の運行でもレールのチェックをしているという。
レールのメンテナンスの苦労を聞いてみると「つねに高速のスカイライナーが走っているので、昼間は線路に立ち入ってメンテナンスができないのです」と答えてくれた。
レールのメンテナンスは目視の難しい夜にしかできない。基本はデータ重視でのメンテナンスになるが、細かく精査するためにプロフェッショナルが暗い現場に立ち、レールをのぞき、枕木に顔をつけ、1mm単位で高さを測定していく。その技はまるで職人のようである。
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